[海外] 北朝鮮/平壌の平和な光景
──牧野一樹
等身大の生活描かれた子供絵画展
八月の共和国は、五月となにひとつ変わらなかった。公園で夏休みを過ごす子どもたちの屈託のない顔、流行の厚底靴を履いて会話を楽しむ女学生、開城の川でずり落ちそうなパンツを押さえながら水浴びを楽しむ男の子。
平壌・ルラン小学校で開催されていた、「日・朝・韓子供絵画展」に出品した子どもたちの得意そうな顔は、とりわけ輝いていた。ゲスト参加していた黒田征太郎さんの作品づくりに魅せられる子どもたちの顔、顔、顔。共和国の子どもたちの絵には宇宙への夢は描かれていたが、日本で紹介されている様な、「日帝打倒」を叫び鬼畜・日米軍と闘う絵など、どこにもなかった。そこにはごく普通の日常、等身大の生活が描かれていた。
また、壇君陵への道程の左右は山際まで青々と田畑が続き、その奥にはポランの広場で踊る人々の歌声が聞こえてきそうな気がした。
五月の訪朝に続いて、今年二度目の訪朝が八月一九日から実現した。本来なら八月二〇日からはじまる「アリラン祭」の観賞と、霊通寺での法要などを含めた久し振りの大型友好交流訪朝団が組まれる予定であった。しかし、七月五日以降の「テポドン騒動」によって、多くの人々が遠慮、自粛した結果、よく言えば少数精鋭、多士済々、一人一人が各界を代表する贅沢な訪朝団となった。
日本での「テポドン騒動」や、「北朝鮮は大洪水、大同江もあふれ平壌は水浸し」といったメディア情報に乗せられて、訪朝を断念した友人も多数いたせいか、五月とは異なって緊張感をもって入国したが、その思いも杞憂に過ぎなかったようだ。
開城までの道のりには、様々の穀物がたわわに実を結び、稲穂が垂れかかっていた。共和国全土の緑化運動の成果か、街路樹の丈は、思いのほか高く、大きく伸びた樹陰で涼をとる人、日傘をさして畔道を歩く女性の姿は美しく、心豊かな光景を目にした。
確かに平安北道、平安南道などではかなりの水害で、多くの被害を受けたと指導員の方は言っていた(早稲田大学の重村教授が言うような三万人の死亡、二〇〇万トンの穀物被害ではないようだ)。
が、大同江のほとりで決壊した堤を人民軍が補修する光景を見掛けることはなかった。私たちが見たのは、万寿台革命広場で革命記念日に向けて敷石の整頓に励む人々や、人民学習堂前で軍事パレードの訓練に汗を流すあどけなくも黒くたくましく成長しつつある若者の隊列であった。
テレビの画面で映し出される軍事パレードとは全く別の、列も整わず、六〇度に左右の足を交互に上げるにはほど遠い、滑稽な訓練風景は見ているだけで愉快で、親しみを覚えた。私だったら三〇分ももたないと思ったが、必至に頑張っている兵隊さん達を頼もしくも思った。人民軍は志願制で、中学卒、大学卒の人たちが中心に志願し、四〜五年で退役するシステムになっていると聞いた。