[海外] パレスチナ/ガザの時限爆弾
──ヤン・エゲルランド(国連人道問題調整部)&ヤン・エリアーソン(スウェーデン外相) 占領マガジン 九月二八日より
和平への展望
世界の注意がレバノンに向いている間、レバノンから二〇〇q南方のガザは時限爆弾のような状態になっている。世界最大の人口密度を抱える狭い地域に、子どもを中心とする一四〇万人以上が重なり合うように暮らしており、しかも行動の自由を奪われているので、走る場所も身を隠す場所もない。六月以降事実上外部と遮断されたので、蛸壺のように閉じられたガザでは、貧困、失業、欠乏、絶望が蔓延。今ガザで一番必要なのは、まさにガザで一番欠けているもの、即ち希望である。
九月初旬、国連、赤十字、NGOなどを加えた三五カ国がストックホルムで集い、ガザ住民にたとえ少しでも希望を復活させるにはどうすればよいかを話し合った。参加国は一一六〇万ドルの追加支援を発表したが、これは国連が要請する三八四〇万ドルの半額以下であった。援助国の善意に拍手をしなければならないが、実際にはガザ住民にはもっと多くが、しかも早急に必要なのである。状況は日々悪化、多くの家族が崩壊寸前である。
六月末から始まった「夏の嵐」作戦以降、イスラエル側は兵士が一人死んだだけだが、パレスチナ側は子ども四六人を含む二三五人が死んだ。例え一人でも人間の生命の大切さには変わりがなく、親族の悲しみは深いだろうが、民間人死者の点から見ると、イスラエルの報復は過剰反撃を超え、明らかな殺人行為である。この夏の紛争の結果は、イスラエル・パレスチナ両方にとって破壊的である。何故なら、僅かばかりの和平への展望を完全に潰してしまったからだ。
ガザへの空・陸・海のアクセスが完全切断。物資と人の移動が止まってしまった。イスラエル軍の発電所やその他のインフラ爆破で、電気や飲料水の送電・配水は途絶えがちで、非常に少ない。市民生活のインフラはほとんど機能していないか、非常に不十分である。ガザは食料や生活に必要な商品を外部に依存しているので、陸の孤島化は致命的だ。衛生状態は日々悪化、飲料水も手に入れにくい。パレスチナ経済全体が加速度的に転落しているので、公衆衛生がもっと酷くなるのは確実である。