[社会] 関西生コンや日雇い労働者・野宿者支援運動への弾圧を行う大阪府警
野宿者支援・労働者四人不当逮捕
「稲垣浩さんが、令状逮捕された!」─この一報が、編集部に入ってきたのは九月二七日の朝のことだった。「西成署リンチ抗議弾圧事件」の控訴審で、大阪高裁が九月六日に稲垣氏(釜ヶ崎地域合同労組委員長・釜ヶ崎炊き出しの会代表)に「控訴棄却」の不当判決を出した(翌日に上告)、その三週間後。
逮捕の容疑は、「威力業務妨害」と「暴力行為等処罰に関する法律違反」。四月二七日、ビデオ撮影をしていた大阪市建設局の職員に暴力をふるったというが、野宿テント排除への抵抗行動に対する弾圧である。
大阪市は、汐見橋(浪速区)の野宿テントに対して二ヵ月に一度、清掃・消毒作業をおこなっている。こういった大阪市の作業は、テントを張って生活する野宿者への圧力・嫌がらせの意味も大きい。そのため、稲垣さんらはその清掃作業のたびに圧力・嫌がらせ行為をさせないよう、監視行動をおこなっている。
汐見橋の清掃作業に先立って大阪市は、テントに「不必要な物品等は処分する」との『告知』を貼ってまわる。稲垣さんは「告知は直接手渡すべきだし、留守ならテントの中に入れておけばいいはず。それをこれ見よがしに貼り紙するのは、嫌がらせだ」「そういった野宿者を見下す大阪市の姿勢が、少年による野宿者襲撃を助長している」として大阪弁護士会に人権救済の申し立てをしていた。今年七月、大阪弁護士会は大阪市に「テントへの張り紙は人権侵害である」との勧告書を出している。
「大阪市は、当初勧告書を無視しようとしましたが、稲垣さん側の抗議で、汐見橋については貼り紙をしなくなりました。今回の逮捕は、これへの意趣返しの意味もあったんでしょう」と語るのは、救援会代表の大谷隆夫牧師。
四月二七日も汐見橋の清掃・消毒作業の日だった。当日、建設局の職員は、なぜかビデオカメラで撮影を始めた。職員は作業風景を撮るふりをしながら、監視行動の撮影が目的であった。これは肖像権の侵害であり、監視行動への嫌がらせである。
稲垣さんは「勝手に人の顔を撮るな」と抗議。その抗議が市職員への暴行であり、威力業務妨害とされた。
市側は「清掃作業の記録のため」というが、ビデオ記録の必然性などどこにあるのか?実際、今年二月の汐見橋清掃の時には、ビデオ撮影はしていなかったのだ。