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更新日:2006/10/14(土)

[政治] 小泉・安倍の安全保障政策
──津田光太郎

日米軍の一体化、日本の孤立深める

日米安保あるいは安全保障の面から、小泉政権は我々に何をもたらしたのかと問われて、質問自体に違和感を感じている自分を発見して戸惑った。たとえば中曽根政権が、日本列島をアメリカの不沈空母として売り渡した時、それは明らかに一つの政治的選択であったし、だからこそ私たちは、その政治的選択を批判し、反対した。

でも小泉政権は、総括するに足る一体どんな選択をしたのか。むしろ、何の選択もしてないじゃないかという、行き場のない憤りの方が強い。

アメリカのイラク戦争とその占領政策に全面協力し、この間の米軍の地球規模での再編計画に際しては、ますます自衛隊と米軍との軍事的一体化路線を小泉政権は進めてきた。日本はアメリカの世界戦略の出撃基地としての機能を、さらに強化しようとしている。それは事実そのとおりだが、問題はもっと深刻だと思う。

アメリカの世論調査では、イラク戦争が誤りであったとする意見が過半数を超えたというが、軍は別の選択肢を示せないまま迷走し、世界戦略の再構築よりも、むしる独善的な国防至上主義だけが幅を利かせざるをえない結果に陥ってしまった。ある種のあきらめ・挫折をともなって、米軍の焦眉の関心は米本土の防衛であり、そのために全てを動員するという考え方に大きくシフトしてきている。おそらく、自分の政治的選択ではなかったために自覚的反省も出来ずにいる日本の政治が、この出口のなさの手助けをしている。

昨年の一〇月に出された在日米軍再編協議の中間報告は、「テロと弾道ミサイルの脅威」を焦点化する総論のもとで、「情報収集能力と高速輸送艦等を運用する兵站能力の飛躍的向上」を日本の役割と位置づけ、それを指揮するための「陸海空三軍統合任務を担う陸軍作戦司令部(UEx=Uniit of Employment X -Headquarters)」を日本に置くことを明らかにした。この方針に沿って、今年の五月には『再編実施のための日米のロードマップ』と名付けられた再編計画の日本側との最終取りまとめが公表された。

「テロと弾道ミサイルの脅威」と書くと、二つの脅威のように聞こえるが、実は「テロ集団が一定期間特定の場所に集結する空間が生じると、そこが弾道ミサイルの脅威を生む空間になりうる。だから、その空間は予想される段階で(アメリカ市民でなければ地域住民ごと)強襲排除すべきだ」という風に、繋がった一つのテキストと理解すべきだ。そうした仕事には正規の国軍が公然と行う分野に限定せず、多国籍企業の傭兵部隊や、各種の専門家を含めて臨機応変なチームをその場その場で雇い、そのチームを指揮できる構造を作らなければならないという事だろう。

戦闘部隊から独立した指揮専門ユニット「UEx」の詳しい内容は公表されていないので不明な点も多いが、『ロードマップ』では「キャンプ座間の在日米陸軍司令部の能力は、展開可能で統合任務が可能な作戦司令部組織に近代化される。改編された司令部は、日本防衛や他の事態において迅速に対応するための追加的能力を有することになる」と記された。このままいけば、問題は日本軍と米軍の正規軍の一体化といった枠組みを大きく踏み越えて進んでいる事を理解すべきだ。

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