[社会] 教育基本法改正/定時制高校の現場から見た教育改革の実際
──レポート A・K
競争原理の持込みと教育の管理強化
今年四月二八日に国会に提出された「改悪・教育基本法案」第十六条の教育行政三項では、わざわざ「地方公共団体は、地域における教育の振興を図るため、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施しなければならない」という文言が設けられており、「実情に応じた教育」という名目の下で、競争による地域格差がいっそう促進させられることがおおいに危惧される。
九月六日付の各新聞では、府立四條畷北高校と清友高校の実質的廃校化が発表された。全日制高校を徐々に廃校し、夜間定時制高校を半減させたうえで、全日制高校との中間に位置するような多部制高校・単位制高校など様々な形態の学校が大阪では増やされてきている。
二部制の高校では、朝一時間目から六時間目まで授業を受ける生徒と、三時間目から八時間目までの授業生徒が同一学校に存在して、生徒指導面で様々なトラブルに直面している。
高校生から見れば、夜間の時間帯にバイトをする方が時給もよい場合が多く、夜間定時制よりも、一〇時半くらいから登校できる学校や、単位制高校で好きな時間に通学できる学校の方が表面的に見れば得をするような面があり、いわゆる勤労学生の何割かも定時制高校以外の高校へ分散してしまっている。
授業料や教科書の提供等で定時制高校の方が本当は経済的困窮層に対して様々な配慮をしているのだが、学校PRではそうしたことには触れられず、高校生や家庭の側の自助努力のみが求められている。
九月七日付の新聞報道によれば、大阪府立高校の授業料減免について、制度適用減免率が現段階で二〇・二パーセントであり、昨年度から四・九ポイントも低下している。夫婦と子ども二人のモデル家庭の場合で、基準額が年収四三六万から二八八万へ引き下げられたという。従来減免措置を受けていた生徒が、生活保護を受けていることを理由に減免からはずされ、結果として仕事が忙しくなり、学業を継続し難くなっているような事例が身近なところでも出現している。
昨年度は総額四二億円の授業料減免であったのが、今年は「八億円の経費削減」と府教委は発表しているが、授業料減免制度を「厳格化」することによって、退学生徒が増加していることを考えると、「四・九ポイント」「八億円」という数字以上のダメージを高校生に与えていることが想像される。