人民新聞[政治] 8/15靖国神社レポート/A級戦犯合祀に異議あり!
ヤルタイ台湾先住民からみたヤスクニ
「還我祖霊」(祖先の霊を返せ!)。台湾立法院議員・ヤルタイ族の末裔のチワス・アリ(高金素梅)氏は、叫ぶ!
お盆には祖先の霊が帰ってくるとされ、これを供養する慣習が今も日本に残る。だが、高砂義勇隊(戦争動員された台湾先住民)の遺族は、靖国神社に合祠名簿からの抹消を強く求めている。八月一三日には、靖国神社を被告として大阪地裁に名簿抹消の訴訟を申し立てた。
一三日から一五日の連続行動として「平和の灯火を ヤスクニの闇に キャンドル行動」(東京)が、行われた。今回の反靖国行動は台湾・韓国・沖縄・日本=四地域共同開催となった。今年特に靖国が大きくクローズアップされたのは、二一年ぶりの現職総理公式参拝にあったことはまちがいないが、九条改憲への手続き法が政治日程に上り、「日本社会が戦前回帰を強めているという危機感が国内外にあり」、国際共同行動となった(内田雅敏弁護士)。
今回の共同行動に約五〇名の台湾先住民がチワス・アリ氏を団長として参加した。台湾先住民は一八九四年台湾併合以降、討伐政策の対象として殺され、さらにその子供たちには徹底した洗脳同化政策の挙げ句、「高砂義勇隊」として戦争動員され南洋の藻屑と消えた。
「これは二代にわたる民族滅亡行為だ」―靖国訴訟団長でもあるチワス・アリ氏は、台湾侵略・先住民虐殺の歴史を振り返ってこう語る。一九四二年から四五年まで出征させられた高砂義勇隊は約一万人に及び、そのうち半分以上が死んだという。こうした高砂義勇隊を含む台湾人・二八〇〇〇柱が、遺族にも知らされることなく靖国神社に合祠されているのである。
「生前は植民され強制的に使役に使われ、死してなお霊魂は引き続き植民され、靖国神社の中に囚われる」。靖国合祀をこう批判するチワス・アリ氏は、「軍国主義と植民制度を徹底的になくしてこそ、すべての人々が救われるのである」と、八・一三集会(東京・教育会館)でのアピールを締めくくった。