人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2006/08/06(日)

[海外] パレスチナ/イスラエルのレバノン侵攻を弾劾する!
──ウリ・アブネリ 翻訳/脇浜義明

馬鹿を止めてハマス政府と対話をしろ

ロケット弾で自宅を壊されたロシア系移民の女性は、息子が死んだと思って、「息子が!息子が!」と泣き叫んでいた。息子は怪我で病院へ運ばれただけであった。一方ベイルートの病院は重傷を負った子どもたちでいっぱいである。ハイファではヒズボラのロケット弾で死んだ人の葬式。ベイルートでは街の一角が全部破壊され、死傷者の数は数え切れない。イスラエル北部の住民は南部へ避難脱出。レバノン南部の住民はイスラエル軍空爆を逃れて北部へ脱出。死と破壊と、人々の苦しみ。

サミットで上機嫌のブッシュは、忠犬ブレアに、「シリアから、ヒズボラに『馬鹿をやめろ』と命令させれば、万事終わるさ」と言って、笑った。ほんの数ヶ月前にシリア軍をレバノンから追い出したことを忘れて、またもやシリアをレバノン介入させようというのだ。

パレスチナの悲鳴に応えたヒズボラ

ヒズボラのナスララーハは、何故今という時期にイスラエル攻撃に踏み切ったのだろう?彼は賢くて用心深い人間だ。イスラエルがヒズボラを叩き潰す口実と機会を待っていることをよく知っていた。だのにイスラエルのレバノン攻撃の口実を与える挑発攻撃を仕掛けたのである。ひょっとしてイランとシリアがミサイルを提供してけしかけたのではなかろうか。事実、突然の中東危機勃発で、イランの核への関心が薄れ、米国の対シリア態度も軟化した。

しかしナスララーハは、シリアやイランの傀儡になる人間ではない。由緒あるレバノンの運動を率い、彼なりの信念や損得勘定を持っていて、シリアやイランの動機と自分の目的とが違うこともきちんと心得ている。

まさに今、イスラエルに対し軍事行動を起こす理由があった。それが、パレスチナである。

二週前、イスラエル軍はガザ住民の殺戮作戦を開始した。イスラエル兵が捕虜にされたことを口実に、ずっと前から準備していた軍事作戦を開始したのである。目的は、パレスチナ人の抵抗意欲を挫き、選挙で選ばれた自治政府を破壊すること。

このガザ作戦は特に残酷で、アラブのメディアはテレビでそれを毎日報道した。死者、負傷者、破壊、飲料水不足、医療品不足、家族皆殺し、泣き叫ぶ子どもや母親──そういうシーンがアラブ世界に報道されたので、米国依存で、国内のイスラム運動を恐れ、世界のハマスいじめを喜んでいたアラブ諸国も、国民の怒りを意識せざるを得なくなっている。包囲され、逆境の中で英雄的に戦っている同胞パレスチナ人を救う真のアラブ指導者を求める民衆の声が大きくなることを心配している。

アラブ世界は英雄を待望し、ナスララーハはそれに応えたのだ。イスラエルに抵抗することで、間接的に米国と西側世界に挑戦したのだ。イランもシリアも味方してくれないことを承知の上で戦いを挑んだのだ。反撃を軽く見積もる誤りを犯したのかもしれない。ロケット弾でイスラエル後方陣が崩れると思ったのかもしれない。

一つだけ明らかなのは、パレスチナ人の助けを求める声がなければ、ヒズボラの攻撃もなかったということだ。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ 海外 ]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.