[海外] パレスチナの小売商「掛売りお断り」
「占領マガジン」サイト 五月五日付 モハメッド・アッサディ
スーパー店主のモハマッド・アル・アミンは、これまでパレスチナ自治政府職員に当たり前のようにツケで食料品を売ってきた。しかし今ではもうそれをやめている。
ハマス新政府は、三月と四月の給料を職員に支払わなかったので、アル・アミンの店はこれまでに一〇万シュケル(二万二〇〇〇j)の未払いツケを抱えており、職員への掛売りを拒否せざるを得なくなったのだ。
職員だけでなく、自治政府の各省庁との取り引きも止めた。合計三〇万シュケルも「踏み倒された」形になっているからだ。彼が経営するスーパーマーケットは、西岸地区ラマラで最大の店である。この地域では、掛売りはごく普通のことである。
「今のままじゃ仕入れの金もないので、何とかしてツケ売り代金を回収しなければならない。でも、それは不可能なのです。みんな借金を払う金がないのです。でも、このままじゃ破産するので、仕方なくツケ売りをお断りするのです」と、タバコを深く吸い込んで、その煙を吐き出しながらアル・アミンは悲しい目で言った。
アル・アミンの苦境は、一般のパレスチナ人や商売人のみんなが陥っている苦境である。
そしてこの苦境は、イスラエルと西側先進国による、パレスチナハマス新政権への拒否キャンペーンが人々の日常生活を追い詰めていることの結果である。
戦闘的イスラム主義のハマスがユダヤ人国家を認めて自らを武装解除することを要求して、西側諸国は自治政府への援助を停止し、イスラエルは自治政府に代わって徴収している税金をパレスチナ側への引き渡しを凍結したままである。
これを見かねたアラブ連盟が、一六万五〇〇〇人の職員を抱えるパレスチナ自治政府の預金口座に、直接給料を振り込むという援助計画が出されたが、それも米国の妨害で実現されていない。
こういう状態がもう数ヵ月続けば、パレスチナ社会の経済は崩壊すると危惧されている。