人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2006/05/19(金)

[海外] パレスチナ/エルサレム、最後の征服
──ブリッジマン

4/12『エコノミスト』電子版より

夕暮れにベツレヘムから眺望するエルサレムは、旧市街の城壁がライトに照らされる。まるで幻想画のように浮き出て、遠くぼんやり輝く山頂の都市、まるでオズのエメラルドの都(オズの魔法使い)のようであった。

しかしそれ以外の点では、もはやこの古代要塞都市は浪漫的な古代遺跡の都市ではなく、それを囲むようにイスラエルが作った入植地の一つ、ハル・ホマ(「壁の山」の意味)と呼んだ方がよい都会に変貌してしまっている。

征服に次ぐ征服を数千年繰り返してきたエルサレムは、巡礼の中心地、歴史のるつぼ、世界最古の国際都市であった。それが、今徐々に、しかし確実に、再び征服されつつある。イスラエルは一九六七年戦争で占領した西岸地区の一部を囲い込み、エルサレムの境界を新たに線引きし直している。事実上の(しかし国際社会が承認していない)併合である。

ハル・ホマなどの入植地が着実に空き地という空き地をすべて取り込んでいった。二〇〇二年第二次インティファーダ勃発、エルサレム中心地が自爆攻撃の矢面に立った時、イスラエルは、「自爆攻撃者侵入阻止」の名目で、西岸地区分離壁の建設に着手した。しかし壁ルートはエルサレムのユダヤ人地区ばかりか、アラブ人地区も囲い込んだので、建設目的が侵入者阻止以外にあることは明白だった。

三月のイスラエル総選挙に先立ってオルメルト首相代理は、「永年の『和平交渉』で実現しなかったことを、イスラエルが一方的に実行し、実現させる」と宣言した。

つまり、西岸地区の小規模入植地を解体して入植者を境界線のイスラエル側へ移住させ、イスラエル人とパレスチナ人を分離すると宣言したのだ(訳注:残余の断片的な土地に勝手にパレスチナ国を作ればよいという、アパルトヘイト式二国並存解決案である)。

数日後、カディマ党の党員で、入植者リーダーであるオトニール・シュネラーが、西岸地区側に残ることになるエルサレムのパレスチナ人地区を公表した。右派は、カディマ党が首都を分割したと大非難。実際には、二地区(アト・トゥールとアズ・ザアイェム)を除くと、みんな分離壁建設ルートの外側にあるところであった。

シュネラーは、「イスラエルが不要部分として切り捨てたところを、将来パレスチナ国の首都とすればよい」という発想である。しかし、それは本来のパレスチナの文化的・宗教的中心地としてのエルサレム、西岸地区の経済の中心としてのエルサレムのごく一部の断片にしか過ぎない。しかも分離壁建設が完成すれば、その断片の中を壁が走り、西岸地区から隔離される部分が生じる。

一九六七年戦争後、イスラエルはエルサレム全域を占領。エルサレム在住パレスチナ人はブルーIDカードを支給され、イスラエル人と同じように国内移動の自由、社会保障受給権、エルサレム市政への参政権を与えられたが、国籍は与えられなかった(訳注:従ってパスポートを得られないので国外への移動は出来ず、またエルサレムから他所へ移転するとブルーカードは没収された。しかし一般パレスチナ人よりは比較的自由で、経済的にもやや楽といえる)。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ 海外 ]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.