[情報] 「半農半X」が農業に新しい風を呼ぶ
──大今歩
稲作シーズン前に「農談会」開かれる
今年の冬は冷え込みがひどくて、私が住む京都府北部の山村・北原でも昨年一二月中旬から雪が降り続き、ずっと田畑は根雪に覆われた。雪が積もる一月から二月は農閑期であるが、例年二月初旬にその年の稲作に備えて大江町の農協(JA)の職員が各地区を巡回して農談会が開催される。
今年、北原区では二月二日に農談会が行われた。その際、毎年「稲作ごよみ」が配布され、田植えの時期や、農薬・除草剤の種類や散布時期が示される。
田植えの時期については、近年猛暑が続く中で成熟期の高温による障害を防ぐため、かつての五月の連休から五月二〇日頃に遅らせることをすすめるなど、稲本来の生態を重視する方向に変わってきた。
また消費者の食品の安全性に対する意識が高まる中で、農薬や除草剤の散布回数を減らすように呼びかけてはいる。しかし従来どおり、農薬・除草剤漬けの稲作であることに基本的な変化はない。
「稲作ごよみ」は毒性農薬オンパレード
JAにのくに(大江町JAが属している)の農業改良センターの「二〇〇六年稲作こよみ」の内容を紹介しながら考えてみたい。
まず農薬については、育苗の段階で苗立枯病などを防除するため、タチガレエース液剤などの散布をすすめている。この農薬にはメタラキシルという発ガン性のある薬剤が含まれている(『農薬毒性事典』(三省堂、二〇〇二年刊。以下、農薬・除草剤の毒性については本書を参考にした)。
七月一〇日頃、いもち病や紋枯病予防のため、コラトップ・リンバー粒剤の水田散布をすすめる。この農薬にはフラメトピルというダイオキシンを発生する可能性のある薬剤が含まれている。さらに八月九日頃、カメムシ防除(多発の場合は二回散布とある)のため、カスラブトレボン粉剤やブラウン・ジョーカー粉剤の水田散布をすすめる。両農薬ともエトフェンプロックスやフサライドなど発ガン性の疑いやダイオキシン発生の可能性がある成分が含まれている。
次に除草剤については、苗を水田に移植した直後(五月二〇日頃)にサラブレッドフロアブルなどの使用をすすめる。この薬剤にはイマゾスルフロンというダイオキシンを発生する可能性のある成分が含まれている。さらに雑草の多い場合、マメットSM粒剤をすすめるが、この薬剤にはモリネートという発ガン性が確認され、環境ホルモン含有の報告のある成分が含まれる。