[社会] 狂牛病の原因と解決方法2
新庄水田トラスト 田中正治
アソシエーション型の有機畜産運動
養鶏場「まほろばライブファーム」の経営方法は、一般の大規模養鶏場とは異なる。一般の大規模養鶏場は、薄暗くて窓がなく、超過密状態で運動させず太らせ、病気予防のために抗生物質を常時投与し、一斉消毒する残酷な「養鶏工場」なのだ。資本制化学工場型養鶏とでもいうべきもので、鶏は生き物として扱われていない。
それに対して「まほろばライフファーム」では、平飼で自由に運動できる、谷間の涼しいところに養鶏場を散在させ、生物活性水で作った餌をあたえ、抗生物質投与や消毒をする必要がない状況を作っている。
「中央リムジン牧場」では、鼻縄をつけない牧草中心の放牧で、牛たちは自由に動き回れる。「世界が飢餓に直面している時、食の資源を多消費しながら牛を育てることは、先進国のおごり以外の何物でもない」との考えから、未使用資源活用型牧畜経営をしているといわれている。飲み水には生物活性水が使われていて、敷き藁はグル─プの稲作からまかなわれ、抗生物質の常時投与やホルモン剤の投与はない。ここでも牛は、生き物として扱われている。
土地─植物─動物─微生物─土地という物質循環の中で畜産業が営まれているのだ。経営体は、農事組合や有限会社形態を取っていて、ピラミッド型でなく、協同/連合のシステムを作り上げてきている。狂牛病発症の諸原因と対抗するところから、こうしたアソシエーションスタイルの有機畜産運動は成長してきたのだ。
狂牛病による牛肉離れと資金調達
だが、狂牛病事件は、消費者の牛肉離れを一気に進めた。牛肉の消費量の絶対的な減少は、畜産農家全体を直撃している。米沢郷牧場も例外ではありえない。また、米沢郷牧場は、JAが推進してきた工場的・化学的畜産業に対抗してきたがゆえの資金調達上の困難に直面したとしても不思議ではない。この問題を自前で解決することもまた、アソシエーションスタイルの有機畜産運動にとって、大きな課題になっている。