[海外] パレスチナ/「公正な平和」への戦略的行動こそ必要」
ムスタファ・バルグーチ(パレスチナ評議会議員)に聞く(三月六日付 「ビター・レモン」電子版) 翻訳/脇浜義明
アッバス議長は和平プロセスに不適当?
ビター・レモン:ハマスが選挙に勝ってから、「マハムード・アッバス議長はもう和平プロセスには不適当なパートナーである」という意見が、イスラエル社会で盛り上がっていますが、あなたはどうお考えですか。
バルグーチ:それは、ハマスの選挙勝利とは関係なく、前々からのイスラエルの立場でしょう。アブ・マゼン(=アッバス)を大統領とするファタハ政府ができて一年間、大統領はハマスを消滅させる力がないから、和平交渉のパートナーとしては不適切として、文字通り一言も話し合わなかったじゃないですか。
私の意見では、イスラエルの計画ははっきりしています。イスラエル計画を一方的に既成事実化して、それを押し付けるだけのことです。それは、東エルサレムを含む西岸地区の四二%を併合し、連続した領土をもつパレスチナ国家樹立を事実上不可能として、その代わり断片的バンツースタンにパレスチナ人を閉じ込めるアパルトヘイト制度を押し付けるのです。 この計画に対する国際社会の認知を得るために、イスラエル首相は、「パレスチナには和平交渉のパートナーがいない」という公式立場をとってきたのです。最初はアラファト、次いでアブ・マゼン、そして現在はハマスを、それぞれ理由をつけて、パートナーには不適切と言っています。
そもそも一九九六年以降、ずっとイスラエルはオスロ合意を破壊しようとし、紛争解決への可能性の芽をことごとく潰そうとしてきました。
今日私たちが見ているのは、昔から同じ政策の継続だけです。それは、@基本的に独立パレスチナ主権国家を認めないこと、A二国並存解決案を実現させないこと、です。
だから、「アブ・マゼン不適切説」というのも、最終的地位協定問題とか、その他の和平への交渉をしないための口実の一つに過ぎません。既成事実を押し付けるための口実です。
ビター・レモン:ということは、あなたも、いや誰であれパレスチナ人指導者や党派はみんな「不適切」になる、というわけですね。
バルグーチ:そうじゃないですよ。彼はイスラエルの計画にとって不適切なだけで、彼に投票したパレスチナ人にとっては適切な人物です。