[情報] 「バイオマス」にもピンからキリまで
はじめに
個人そして地域が自立するための適正技術として、持続可能な社会を実現するためのバイオマス利用とはどういうものか?人民新聞1233号「車の燃料だって自分で作れる!」に引き続き、手づくり企画「ジャーニー・トゥ・フォーエバー」の共同代表・平賀緑さんが、バイオディーゼル燃料を中心に世界規模で考え、地域(個人)規模で実行するバイオマスを見極めるポイント紹介する、連載第2弾。
バイオマスって何?
「バイオマス」って聞いたことはあるけど、その実よう分からんという方。心配しないで。イマイチわからないまま使われている言葉だと思うので。
定義として「バイオマス」とは生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、一般的には「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と言われている。その種類としては大きく言って、@廃棄物系のもの、A今は利用されていないもの、Bエネルギーや製品の製造を目的に栽培される植物がある──とされている。
@には、家畜排せつ物・食品廃棄物・建設発生木材・製材工場残材・黒液(パルプ工場廃液)・下水汚泥・し尿汚泥など、Aに稲わら・麦わら・もみ殻・林地残材(間伐材、被害木等)など、Bに、さとうきびやトウモロコシなどの糖質系作物やなたねなどの油糧作物などがあげられている。バイオマスの用途としては主にエネルギー源とする場合と、マテリアル(素材)とする場合とがある。
じゃあ実際にはどんなものがあるかというと、私たちが使っている天ぷら油から作ったバイオディーゼル燃料や、畜産の糞尿や生ゴミをメタン発酵させるバイオガス、エタノール(お酒の成分)をガソリン代替燃料として使うバイオエタノール、それから薪ストーブの薪や七輪の炭も立派なバイオマス・エネルギーのごく一例だ。マテリアルとしては生分解性プラスチックや竹から作ったナノテク素材、ヘンプを使った素材などなど、山ほどある。
環境」の美名に惑わされない!
バイオマスは原料の植物が生育する時に二酸化炭素を吸収するため、化石燃料と違って二酸化炭素を一方的に放出しない。栽培することができる再生可能な資源だから、石油埋蔵量のように限界がない。だから「環境にやさしい」資源で、京都議定書を掲げられた今とにかく導入しなくちゃいけない。そんな行政や企業の広報宣伝を見た時には、ちょっと立ち止まって考えて欲しい。
実際にどういう状態で生産されて、どこから運ばれてきたバイオマスなのか、しっかり見極めることが大切だ。なぜなら「エコ」「環境」の美名やイメージだけに惑わされると、あんがい自然にも人間にも迷惑なバイオマスだったという恐れがあるからだ。