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更新日:2006/03/04(土)

[海外] パレスチナ/リクード、カディマ、労働党──三本指の手
──1/10 ウリ・アヴネリ

イスラエルの「民主主義」に三つの選択肢

アミール・ペレツが労働党首に選ばれ、シャロンがリクードを出て、慌てて新党「カディマ」(「前進」の意味)を結成。ところがそのシャロンが発作で倒れ、どうやら復帰は不可能な様子。何がどうなるかさっぱり分からない状態となった。

選挙まで後八〇日、再び一からの出直しである。カディマが最有力だったが、今度ばかりは、まったく予想が立たない。

カディマは、「シャロン個人の党」として誕生した。彼は、極右のツアヒ・ハネグビ、自称和平派シモン・ペレス、軍国主義者シャウル・モファズ、元左派労働組合指導者ハイム・ラモンを巻き込み、その接着剤となった。

そのシャロンが病気で倒れた。カディマにはきちんとした綱領もイデオロギーもない。しかしその感性と思想のあいまいさが、党綱領の代用物の働きをしているのだ。

多くの人々は何となく和平を願っている――どれだけの代償を払って、どういう形でパレスチナ人と和解するか、など明確な輪郭をもった和平ではなく、抽象的な「和平」である。だから、このぼんやりした和平願望は、「アラブ人を信用するな」「アラブ人とは和平協定はできない」というスローガンと同時並行して存在する。

シャロンが去った後の政治的競技場は、傑出した選手やカリスマ的選手がいない競技場になるだろう。良きにせよ悪しきにせよ、イスラエルは普通の政治家が率いる普通の党が競い合う政治舞台となるであろう。

エフド・オルメルトは典型的な凡庸な「政治屋」である。偉大な父親像はないし、輝ける将軍でもないし、思想家でもない。カリスマ性もないし、理想もないし、他人より高潔というわけでもない。それだけに、抜け目無さはある。醒めていて、野心があり、テレビでは口がうまい。

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