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更新日:2006/03/04(土)

[海外] パレスチナ/この道はいつか来た道
──1/28 ウリ・アヴネリ 翻訳/脇浜義明

シャロンが人事不省でなかったら、飛び上がって喜んだことだろう。ハマスの選挙勝利が、彼の野望実現の条件を作ってくれたからだ。

この一年間、シャロンはアッバスを失脚させることに懸命だった。米国は、彼にアッバスと交渉することを望んでいた。交渉すれば、嫌でも西岸地区の大部分を返す事態になるだろう。彼は西岸地区の半分以上を併合するつもりだから、何としてもアッバスを失脚させるか、穏健派イメージをつぶす必要があった。

昨年、パレスチナの状況は悪化に悪化を重ねた。占領軍の作戦行動で、通常の生活や経済活動が不可能となる一方で、占領内の入植地はどんどん拡大、その上、分離壁が土地と生活圏を奪い続けた。

ロードマップや口約束で期待されたパレスチナ人政治犯の釈放はなかった。すべて、アッバスが「腰抜けの指導者」である、というイメージをパレスチナ人に植え付け、「和平交渉や停戦なんて無意味だった」と思わせるためだ。

このイスラエルのやり方がパレスチナ人に伝えたものは、「イスラエルは、武力という言語しか理解しない」という明白なメッセージだ。

そして今や、その言語を話す勢力が権力を握ったのだ。

パレスチナの選挙はドイツと同じで、議員の半数は党の立候補者名簿から、あとの半数は各地区から個人候補者が選ばれる。後者は、地域活動や宗教活動に熱心なハマスにとって非常に有利となった。

前者の比例代表制で、ハマスは辛うじて過半数を取れた。一般世論がファタハの政治路線(二つの国家、イスラエルとの和平)をかなり支持していることが分かる。

ハマスへ投じられた票は、「和平反対」とか「宗教重視」と関係なく、基本的には「抗議票」であった。

ファタハが独占的に牛耳ってきたパレスチナ政府は、汚職と堕落で汚れていた。占領による酷い状態を招いた責任の一端はファタハにもあった。そして、絶大な軍事力をもつイスラエルに不屈に立ち向かう殉教者の存在が、ハマスの人気を押し上げた。

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