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WTO反対の韓国農民のデモ隊に襲いかかる香港の機動隊
更新日:2006/01/08(日)

[情報] 新自由主義的グローバリズムに立ち向かう民衆の連帯

WTO(世界貿易機関)第六回閣僚会議(香港/12・13〜18)

「おれたちはゴミじゃないんだ!」今年一月、愛知万博を控えた名古屋市で強制排除された野宿労働者の叫びは、すぐさま地球を一周りしてブラジル・ポルトアレグレに届けられた。現地では第五回世界社会フォーラム(WSF)が開催されており、「持たざる者」たちが空きビルを占拠しようというその瞬間だった。

いま、大阪市では野宿者排除の圧力が強まり、今年度中にも強制排除が行われるのではと緊張が高まっている。背景には二〇〇八年にサミット(先進国首脳会談)を大阪誘致の動きがある。野宿労働者は常に、資本に翻弄され、命を奪われてきた。

「死の行列を止めるために」香港に向かうと韓国民衆闘争団は決意を語る。厳寒の空にたたきだされようとしている日本の野宿労働者は、その言葉を同じ思いで受け止めている。

「持たざる者」の国際連帯

人民新聞では、かねてより寄せ場・釜ヶ崎をはじめとして日雇い労働者や野宿労働者のおかれた状況に注目し、紙面に掲載してきた。彼らは「労働力の使い捨て」「棄民化政策」を体現するがゆえに、近代資本主義の本質的矛盾をあばきだす存在だ。同時に、新自由主義的グローバリゼーションの日本における最大の「犠牲」者たちでもある。

これまでも世界の反WTO行動や世界社会フォーラムにおいては、苛烈な搾取と抑圧を強いられていながらも、その声は社会にも運動にも届けられることのなかった「持たざる者」=野宿者、失業者、スラム居住者、移住労働者、土地なし農民、先住民族、被差別カーストなどさまざまな運動体が、独自の視点を持って集い、声を上げてきた。

新自由主義的グローバリゼーションのもとでの経済システムにより、現実に命を奪われているのが下層労働者・農民だ。フランスで暴動が勃発したのも、都市郊外で警察に虐殺され続けている若年失業者の「声なき声」ゆえだった。フランス暴動を契機として、社会の最底辺層にある若者など「主流な」運動が対応しきれていない人々と、いかなるつながりをもつことができるのか?運動総体に問われている現在、「持たざる者」の国際連帯行動はいっそう重要な意味を持つ。

韓国労働者の下層民衆生存権を守る闘い

香港WTO対抗アクションで、もっとも注目を集めているのが韓国労働者の闘いだ。それは、香港政府やマスコミがはやしたてるような「暴力的行為」によるものではない。韓国労働運動が、従来は労働運動の周辺であった非正規労働者の声に耳を傾けることで歴史的な転換を遂げ、下層民衆の生存を守るための力強い運動を展開しているからだ。

先日ソウル・プサンを中心に取り組まれた反APEC闘争においても、非正規職労働者・全国貧民連合・全国農民会総連盟などが闘争の前面に立ち、大きな役割を果たした。非正規労働者の闘いは、正規職を巻き込みゼネストまで登りつめた。

ソウル市では野宿労働者の当事者組織が発足した。韓国民衆闘争団はコメ輸入自由化で死活的な事態に直面する農民九百人を中心に、民主労総・韓国労総など千五百人が「決して退けない決戦」として香港に乗り込む。

日本の野宿者運動は数年来、韓国の失業者・野宿者との交流や共同闘争を進めており、釜山APEC阻止闘争では民主労総建設支部の招請を受け訪韓し、放水銃と向き合ってともに闘った。東京・横浜・大阪などの寄せ場・野宿労働者が争議団を結成し、元請けゼネコンを相手に未払い賃金を奪い返した闘いを描いたドキュメント映画「土方」(民主労総制作)は民主労総のイベントで上映され、大きな反響を呼んでいる。

今回の香港WTO行動は、底辺層の運動の日韓交流を引き継ぎ発展させるものとして位置づけられている。

日本の反グローバリズム運動も、野宿者・失業者・障がい者・移住労働者・フリーターなど、社会の底辺を構成し日々困窮している人々との結びつきは、まだまだ脆弱だといわざるを得ない。私たちが国際連帯行動の中でつかむべきものは何か。人民新聞では、韓国の労働者・農民をはじめ世界の民衆の熱気と決意と、底辺の視点に触れながら取材していく。

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