[海外] 韓国/非正規職保護法案阻止でゼネスト
──日韓民主労働者連盟・中村猛
はじめに
韓国で、政府が提案した非正規職保護法案阻止に向けてゼネストが闘われている。ゼネスト参加者は初日の一日は約六万人。一一月二三日からは、国会前テント籠城闘争に突入し、一二月一・二日は全面スト。五〜七日はいったん拡大幹部ストに縮小するが、法案が上程された場合には、すぐさま全面ストに切り替える。
アジア通貨危機(九七年)によるIMFの韓国経済への介入以降、急激に増え続けてきた韓国の非正規雇用は、今や労働総人口の過半数となっている。非正規雇用法案は、非正規雇用の更なる拡大と不安定化を促進するもので、民主労総が一一月の労働者大会でゼネストを呼びかけた。韓国には特殊雇用労働者(個人事業者として偽装された非正規労働者)も多く、特殊雇用労働者の労働者性の認定も要求している。
新自由主義改革が世界を覆うなか韓国では、非正規労働をめぐって熾烈な闘いが展開されている。「日韓民主労働者連帯」の中村猛さんに話を聞いた。(文責・編集部)
非正規労組の急速な成長
韓国ではここ一年で急速に非正規労組の組織化が進みました。新自由主義的改革によって労働者の両極化が進み、正規と非正規の格差が拡大。非正規職のは生存すら脅かされている状態です。
非正規雇用のなかで一番大きな問題は、特殊雇用職です。「小社長制」とも言われますが、持ち込みトラックの運転手・ゴルフ場のキャディーや保険外交員なども含まれ、全労働者の一二%位を占めます。実際は、非正規職労働者ですが個人事業者とされ、労働者性は否認され、使用者との雇用関係も認められず、労働者保護の対象外です。こうした非正規職労働者は、立ち上がらざるを得ないのです。
しかし当初、正規職労働者の理解と連帯行動は期待できませんでした。一年で一〇人もの非正規職労働者が憤死するという犠牲を払いながら、非正規職自らが闘うことで正規労働者を巻き込み、ゼネストにまで登り詰めました。
私は、一〇年以上韓国労働運動との連帯・交流をしてきましたが、非正規職労働者を課題としてゼネストを闘うことなど想像もできませんでした。現代自動車労組など戦闘的と言われた労組でさえ、非正規労働者や下請けの労働者と共に闘うという雰囲気は感じられなかったからです。
非正規職労働者自身の闘いが、ここまで情勢を煮詰め、焦点を創り出してきたのです。これは素晴らしいことです。 国会内の勢力図と審議の見通し
韓国国会(一院制)は、二九九議席のうち、与党・ウリ党=一四六議席、野党・ハンナラ党=一二五議席、民主労働党=九議席、その他一八議席です。ウリ党単独では過半数に届きませんが、ハンナラ党は、資本家利益を代表していて「政府案から一歩も譲らない」という立場で賛成する模様で、法案は、賛成多数で可決される情勢です。民主労働党は、この法案に関しては完全に少数派となっています。
非正規法案はこれまで二回、提出され、民主労働党所属国会議員の実力闘争によって阻止しました。前回は、民主労働党議員が委員会室を実力占拠。審理をさせないという戦術を駆使しましたが、賛成多数の議会内情勢の中で、院内の実力闘争は困難。ゼネストは、院内外の闘いを結合させる意味で提起されています。