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杉村昌昭さん


パリ市南部、9月の火事で焼け出された被害者。その際にも、サルコジ内相は居住者の排除を示唆し、激しい反発を買っていた。
更新日:2005/11/26(土)

[海外] フランス/青年・貧困層を暴力的抵抗へ追いやるネオ・リベラリズム
──杉村昌昭(龍谷大学教授・フランス現代思想)

はじめに

10月27日に始まったフランスの若者暴動は、8日で12日連続となり、パリ北東部から全国へと拡大。ドイツ・ベルギーなど他の欧州諸国へと広がる気配も見せている。ドビルパン首相は、ついにフランス史上初となる国内非常事態を宣言し、力による制圧以外打つ手なしという無能ぶりを露呈している。

暴動が長期化し、波及した理由は何なのか?アタックフランスをはじめとする反グローバリズム運動活動家は、これをどう評価し、いかなる関わりをもとうとしているのか?フランス現代思想を専攻し、反グローバリズム運動にも造詣の深い杉村昌昭さんに話を聞いた。杉村さんは、「新自由主義グローバリズムが生み出した経済格差と若者貧困層の社会的排除こそが暴動の原因だ」とその背景を語る。(文責・編集部)

「移民の暴徒化」などではない!

まずマスコミのいう「移民青年の暴徒化」という捉え方は全く間違っています。彼らのほとんどは、フランスで生まれ、仏国籍を持つ移民二世・三世の若者たちです。「出稼ぎの不法移民が騒いでいる」というイメージで捉えると事態を見誤ります。日本で例えれば、在日韓国・朝鮮人二世・三世を「移民」と呼んでいるようなものです。

今回の「暴動」は、人種や民族の問題ではなく、新自由主義グローバリズムが生み出した経済格差と社会的排除に対する青年貧困層の暴力的抵抗だと見るべきでしょう。

彼らは小学校の時には和気あいあいとやっていても、成長していくに従って親の階層によって分化し周辺に追いやられていきます。学校で落ちこぼれ、仕事も将来への希望もなく、犯罪に走るしかない。そうした青年層が、「競争」を金科玉条とする新自由主義政策で膨大に生み出されました。今回の暴動は、新自由主義グローバリズムが招いた結果です。

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