更新日:2005/11/12(土)
[コラム] バリアのない街12 希望を与えるリハビリの専門家を
──遥矢当
「この施設を辞めてどうするの?」「リハビリの学校に行ってPT(理学療法士)になりますわ!」私はまたこの一言を聞かされた。兵庫県伊丹市にある介護老人保健施設(老健施設)での出来事である。
一〇月に入った昼休み、私は同僚の男性介護士と更衣室で行き会った。彼は常勤職員として私より一ヵ月程遅れて入社し、未だ二ヵ月という経歴だ。これまでも介護施設で勤務してきたという彼は話を続ける。「もう、この仕事で疲れましたわ…」リハビリの専門家になるというよりも、疲れきってしまった介護職員としての姿がそこにあった。
介護職とは、過酷な肉体労働である。加齢と共に始まる健康面での衰えは作業能力に響く。正直言って、介護の現場は職業人として生涯を送れるる場ではない。そこで、介護職員の多くは新たな道を探し出す。異業界に転職する者も多いが、やはりお年寄りが好きな人たちである。施設および現場から離れたくないのだ。今までと同じく施設での勤務が続けられ、しかも収入が上がる新たな進路。それこそがリハビリの専門家への道なのである。こうした選択は、特に男性職員が多く選ぶ。
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