更新日:2005/11/12(土)
[海外] パレスチナ/ブルドーザーとピアノ
──グーシュ・シャローム 翻訳/脇浜義明
ヤコブ・アレグロの人生行路は尋常ではなかった。最近彼は、彼の長い旅路で新たに一つの駅を作った。パレスチナのビリイン村で、分離壁建設で圧殺されている村人を元気づけるために、壁建設に抗議するピアノ演奏デモを行なったのである。
ビリイン村は、村を真っ二つに割る分離壁建設に反対して闘っている。激しいデモやイスラエルが扇動スパイを送り込んだ事件などで、連日紙面に登場している。最近ではデモ隊と軍の衝突などで、一般イスラエル人も関心を抱き始めた。軍はデモ隊を村へ入れないために、外出禁止令を敷いたり、各所を道路封鎖している。
ホロコースト生存者 分離壁に抗議しピアノコンサート
ヤコブは一九四三年アムステルダムで生まれた。アムステルダムはナチの支配下にあって、大きなユダヤ人コミュニティが崩壊寸前にあった。彼はまだ幼かったのでナチの直接的な記憶はないが、彼の一家全員がナチによって殺された。「戦前ほとんどのオランダのユダヤ人は世俗派で、当時はシオニズムはほとんど影響力をもっていませんでした」。
ところが、現代になって状況が変わったと言うのだ。「現在オランダのユダヤ人コミュニティはイスラエル支持に動員されています。私がパレスチナの村へ行ってピアノ演奏をやるということを聞いた友人たちの中には、ひどく否定的に反応する人々がいました。私を『裏切り者』と呼ぶ者もいたし、また、『君のようなホロコースト生存者がそんなことをするなんて理解できない』と言う人もいました。多くの人々は無条件にイスラエル支持で、実際には何が起きているのかを全然知らないのです」。
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