更新日:2005/11/12(土)
[政治] 猪名川上流ごみ処理施設建設/2億円の土地を10億円で買収した施設組合
原告住民が土地鑑定意見書を提出
二次にわたって損害賠償を求める住民訴訟が起こされている猪名川流域(川西市・能勢町・豊能町・猪名川町)ごみ処理施設建設。用地買収に関する損害賠償を求めた第一次訴訟で住民側は、一〇月一三日の公判において、買収価格=一〇億一一二一万円の根拠となった土地鑑定評価額は誤りで、二億三五三万円が適性な評価額であるとの土地鑑定意見書を提出した。
高額・不明朗な用地買収について強力な反証が提出されたことで、施設建設に関する損害賠償を求めた第二次訴訟への影響も必至。ごみ処理場建設にまつわる談合・ヤミ世界への資金流出・政治家への環流という隠された実態暴露の端緒が開かれた。
行政の言いなり評価の不動産鑑定会社
猪名川上流広域ごみ処理施設組合(管理者・柴生進川西市長、以下「施設組合」という)が買収価格の根拠とした鑑定書を作成したのは、樺J澤総合鑑定所(本社・大阪市北区)。全国に六支社を置き、不動産鑑定士四〇名を擁する関西最大手の鑑定企業である。樺J澤総合鑑定所は、建設予定地のうち公簿面積一四万uの買収価格=約一〇億三六〇〇万円の根拠となる鑑定書を作成した。
ちなみに、不動産鑑定業界の最大のお得意様は行政である。再開発・公共事業にまつわる土地取得の際などに利用する。民間どうしの取引の場合は、市場価格に基づいた双方の合意で価格が決定されるので、鑑定会社には声がかからない場合も多いのである。
顧客である行政のの意向に沿う形で鑑定書を作成するというのは、営業サイドから見れば当然ともいえるが、適正価格の五倍というのは、専門家としての職業倫理にもとる。
鑑定業界と行政の構造的ななれあい関係の中で、今回の場合も施設組合の意向に沿って鑑定書が作成されたと考えられる。
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