更新日:2005/11/03(木)
[社会] 福祉・医療のグローバル化は生身の人間を引き裂く
──一村洋子
フィリピンに増加する無医村
ATTAC京都の連続企画「海を越えてやってくるフィリピン人看護師・介護士たち」に行ってきました。フィリピンといえばご縁のある国。医療や介護の問題も関心がありました。
まず(財)アジア・太平洋人権情報センター研究員の藤本さんの報告。
日比FTA(自由貿易協定)交渉で大筋合意されている中身ですが、一定の要件を満たすフィリピン人の看護師・介護福祉士候補者の入国を認め、日本語等の研修終了後、日本の国家資格を取得するための準備活動の一環として就労することを認めるものです。滞在期間の上限はありますが、国家試験に通れば引き続き仕事ができます。今は受け入れ人数の点で保留ですが、日本の医療・介護現場にフィリピン人が入ってくるのは時間の問題です。
この背景にはフィリピンの慢性的高失業率と政府の累積債務があります。政府予算の六〜七割が債務返済に消える状況。そのためフィリピンは、国策として労働者を海外へ送り出し、その送金額は国内総生産の一割にもなります。しかも国内での医師・看護師の待遇は悪い。看護師として一ヶ月働いた額がアメリカでの日当程なので、今や一年に一万人が海外流出しています。看護師の国家試験の合格者数は年に五千〜六千人なので、現場の人手不足は急速に悪化している中、看護学校の教師から医師・弁護士まで看護師になって海外へ行こうとしています。こんな事を私たちはどう受けとめたらいいのでしょうか。
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