更新日:2005/10/21(金)
[海外] パレスチナ/ガザにみるエジプト・イスラエルのもたれ合い
──「デイリースター」9/12より アデル・モネム・サイド 翻訳/脇浜義明
過去四半世紀間のエジプトの対内外安全保障政策は、次の四本の柱のもとで展開してきた。@エジプト・アメリカ戦略関係、Aエジプト・サウジアラビア中東地域戦略関係、Bエジプト・ヨーロッパ経済関係、Cエジプト・イスラエル平和条約。エジプトのガザに関する懸念や動きは、このCに基づいて考察しなければならない。 四年間にわたるインティファーダと、それに対するイスラエルの過剰な対応は、エジプトの安全保障を脅かし、さまざまな形で影響を与えた。 第一に、インティファーダがイスラエルの強硬姿勢を招き、エジプトがイスラエルと結んだ対イスラエル和平を中東全体へ広めようとするエジプトの役割が頓挫してしまった。 第二に、パレスチナ・イスラエル紛争は、カイロを主たる攻撃目標とする急進的イスラム主義運動に口実を与え、そういう過激勢力の繁殖場となっている。 第三に、ガザで紛争があると、ガザやイスラエルと接するエジプト国境付近は、麻薬密輸・売春・不法出国・組織犯罪、そしてパレスチナ・ゲリラの武器密輸などが激増、特に国境の地下トンネル問題などは、僻地の小さなエジプト軍の手に負えない問題であった。 第四に、イスラエルは平和条約で武器導入禁止が明記されているD地区へ、戦車や大砲などの重火器を平然と持ち込んできた。こういう条約無視が続けば、平和条約そのものの行く末も危ぶまれる。その種の不安定な状態が破局へと進んだ例は、中東史には事欠かない。
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