[社会] 山形大学廃寮問題/高裁が大学職員の泥棒行為を認定
──裁判支援関西バスツアー参加者 きのえね
はじめに
9月20日、仙台高裁にて、『泥ウソ』国賠第2審の判決が言い渡された。この裁判は@学寮廃寮をねらう大学当局による組織的な泥棒事件と、Aそのもみ消しのために無実の学生を逮捕させた山形大学長による刑事告発、の2点についてその違法性を問うものだ。国の政策に批判的な言論や不服従すらもが当たり前のように弾圧される現状で、弾圧する側を積極的に問題化し、法的・社会的にその不当性を明らかにする。それが『泥ウソ』国賠だ。
判決は、学生寮自治会の所有する会議資料などを盗み出した大学職員の行為を違法と認定し、この行為が大学当局による情報収集指示に基づくものであるとした上で、自治会の「人格権」を侵害したとして30万円の損害賠償を国に命じた。、学生自治団体が大学当局を相手取って起こした訴訟で、損害賠償が認められたのは、じつに画期的なものだ。
一部勝訴を勝ち取ったものの、判決の結論は弾圧を正当化するものには変わりない。裁判所は、刑事告発者である学長の証人尋問すら行わず、泥棒の責任を一職員に押しつけた。大学の組織的犯罪行為を隠蔽する、不公平な裁判による不当判決だ。勝ち取った成果を生かすためにも、原告団は最高裁へと上告する。
学生・フリーターである原告団は裁判費用のカンパも求めている。「権力こそが間違っている」ことをあばきだす『泥ウソ』国賠を支援しよう。(郵便振替口座 02280-8-88215 加入者名 丸一俊介)
高裁傍聴には、京都の学生を中心に大型バスツアーが組まれるなど、150名が駆けつけた。翌日には山形に場所を移し大学当局に対する行動が取り組まれた。記事は、2日間の行動に参加した関西バスツアー参加者の学生に、大学当局の反応と関西学生の盛り上がりを中心に寄せてもらった。(編集部)
山形大の不当弾圧 明らかに
一部勝訴判決から一夜明けた二一日、原告の学寮生は、判決後の大学の見解を求めるべく、山大に申し入れ書を提出しに行った。この行動には、前日の傍聴と同じく原告のほか、山大や東北大の学生、東京や私たちのように関西から来た学生も同行した。
午前一一時ごろ、対応した山大職員は、申し入れ書を受け取らないばかりか、私たちを建物の中に入れようともしなかった。先に入っていた二名は、山大職員に正面口も裏口も鍵をかけられしまい、建物内で完全に缶詰状態となってしまった。
建物内の原告二名はトイレに逃げ込み、外の私たちは正面口前で、猛抗議。同時に、学内で判決の載った新聞記事を撒いたり、「裁判所は山大の泥棒を認めたゾ!」などの声を挙げアピールをした。
膠着状態はとっぷり日が暮れるまで続いた。その場にいた職員は、「申し入れ書は受け取るが、大学の見解は述べられない」との一点張り。しかたなく、閉じ込められた原告二名は建物内のトイレの窓から、建物の外にいた職員に申し入れ書を提出した。
申し入れ書提出の際に、原告は職員に「職務で泥棒行為を命令されたら、拒否するのか」と問い質した。職員は「分からない」と答えるのみ。山大は自らの泥棒行為を未だにあやふやにしているのだ。しかし、裁判所も山大の泥棒行為を認めており、いまや大学だけが自らの犯罪を認めていない。泥ウソ裁判は少しずつではあるが、勝利に向かって前進している。