人民新聞オンライン

タイトル 人民新聞ロゴ 最新版 1部150円 購読料半年間3,000円 郵便振替口座 00950-4-88555┃購読申込・問合せはこちらまで┃人民新聞社┃TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441┃Mailto:people@jimmin.com
反貧困社会編集一言政治海外情報投書コラムサイトについてリンク過去記事
更新日:2005/09/30(土)

[投書] 言わせて聞いて第1222号

「我」を自覚した受刑者が刑務所を解体する●元獄中者組合 北谷隆

「国体擁護」の固まりみたいな「産経新聞」の記事で、「受刑者のわがままに刑務所当局が頭を抱えている」というニュースを、私なりの解釈で紹介してみたいと思う。

八月一八日付「産経新聞」の夕刊記事によれば、「塀の中でも一人がいい」という大見出し。「プライバシーを求め独居房逃れ」とある。

要は、刑務所の過剰収容問題にありそうで、「近年の起訴人数の増加や刑期の長期化傾向などとあいまって、年々深刻化している」。

法務省矯正局などによると、「全国六七カ所にある刑務所(少年刑務所を含む)の平均収容率は、平成七年の七九%に対し一六年は一一八%に達し、理想的といわれる八〇%にはほど遠い」あり様というから、ただ刑を重くすれば犯罪が減少するという単純なことでもないらしい。

なお、死刑制度について、内閣府の「世論調査」(平成一六年一二月)によると、五三・三%が「死刑を廃止すれば、凶悪犯罪が増える」と答えているが、これも非道に曲がった常識である。

「各刑務所は、定員六人の雑居房を八人部屋にしたり、独居房に二段ベッドを入れて二人部屋にするなどして対応している」そうで、トラブルの巣となり、受刑者も永遠に続く秩序がないことを知る。

そんな病巣の刑務所に行きたくなくて、私の住む大拘でも、短期刑でありながら、控訴・上告までして、ぐずぐずしている連中がいる。

現に、「雑居房の受刑者がトラブルを起こし、独居房に入れられる懲罰の対象者数が、平成六年から一六年の一〇年間で約二倍に膨れ上がっている」という。

「中でも、プライバシーの希薄な雑居房から逃れるための故意の規則違反の懲罰事例件数は、一六年で約一万一五〇〇件。一二年の二倍近くに達している」というから、刑務所では、自分が悲しませた被害者のことを考える機会がないことになる。

このうち大阪刑務所では、「雑居房逃れの手法として、就業拒否の事例が急増。一五年の九六四件に対し、翌一六年は一・六倍の一五五〇件と過去最大に達した」と具体的である。

このように「独居房に入れてくれないなら作業場へ出ない」と泣きつく受刑者像は意外にラディカルに映るし、私など「我」の自覚、個性の溌露と見る。

何故なら、受刑者が温和しいといわれるのも、自覚あっての温和しさではなく、無我の温和しさであるから…。

しかし、土本武司・白鴎大法科大学院教授も言うように、「懲罰は違反行為に一定の歯止めをかけるためのもので、それさえも利用されるとすれば、懲役刑のあり方を根本から覆すもので由々しき問題」でもあろう。

だからって、「高度成長期以降の核家族化で、自分の部屋がある暮らしに慣れた受刑者が多くなったことが背景にある以上、「受刑者の気質の変化」に含意があると見るべきで、受刑者のわがままの横行こそ無力にまさる。

NTTが公衆電話を大リストラ中●神奈川・田中大也

「街から公衆電話が少なくなった」と言われて久しい昨今だが、事実、公衆電話は大幅に減ってきている。

NTTの公式データ、「公衆電話数の推移」によると、平成一〇年度における日本全国の公衆電話総数は約七五万台だったのが、平成一六年度には約四四万台と、僅か六年間で三〇万台も減少している。携帯電話の普及が原因にあるのだろうと考えてしまいがちだが、直接の原因はそうではない。NTTが「赤字の公衆電話切り捨て」の方針を打ち立てて、リストラを断行したことが本当の理由だ。

しかしながら、公衆電話は本来、公共性の高い事業として発展してきたものであり、利益の有無によって安易に削減してよいものではないことは、歴史が証明している。

公衆電話は、二〇世紀初頭の段階で日本に入ってきたが、大きく発展したのは戦後。破壊された電信網を復興するべく、国が取り組むようになってからだった。「委託公衆電話」と呼ばれる店頭電話を普及させることによって(いわゆる「赤電話」)大勢の市民 が電話通信を利用できるようになっていったのである(「ドコモ電子図書館」より)。大衆にとって不可欠なものだったと言ってよい。

また、公衆電話は一般の電話よりも優先してかかるシステムになっており、災害に強いという特長がある。緊急時には無料で電話をかけることもでき、非常に頼もしい存在だ。

だが、NTTは赤字切り捨ての方針のもと、更なる削減案を打ち出している。将来的には総数は現在の半分以下、NTT東と西とでそれぞれ一〇万台ずつにまで抑えていくのが目標だという。このままでは、携帯電話を持たなければ、屋外で電話サービスを受けられる環境が消えていってしまう。

些細なことで電波が途切れ、電池切れのリスクがつきまとう携帯電話の売り上げで、巨額の利益をたたき出しているにも関わらず、公共的サービス事業の一環である公衆電話を切り捨てにかかるNTTの姿勢は、「構造改革」と歩調を同じくするものだ。公衆電話の削減が、災害時の更なる困難を招き、「人災」を呼び込んでしまうのではないかと懸念せずにはいられない。

続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。
[HOME]>[ 投書 ]


人民新聞社 本社 〒552-0023 大阪市港区港晴3-3-18 2F
TEL (06) 6572-9440 FAX (06) 6572-9441 Mailto:people@jimmin.com
Copyright Jimmin Shimbun. All Rights Reserved.