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ラマラー近郊、分離壁に近いランティスの医療診療(mobile clinic)で 少女を診察する筆者
更新日:2005/09/09(金)

[海外] パレスチナ/ルポ 医療ボランティアに従事して
──片岡浩之

無医村への移動診察

この四〜五月に、およそ二年ぶり、二度目の占領パレスチナを訪問しました。ヤセル・アラファト没後、後継のアッバスが高らかに「停戦」を唱え、ガザからイスラエル軍の撤退が語られている「和平ムード」下での訪問でした。

前回は、パレスチナ赤三日月社(PRCS)の国際医療ボランティアとして、ラマラー近郊の病院で働きましたが、今回はパレスチナ医療NGOで一九八五年に設立されたHWC(Health Work Committees=保健医療委員会)にてパレスチナ自治区・ヨルダン川西岸の北部から南部の各地診療所で、また分離壁近くの無医村への移動診療に従事し、子どもからお年寄りまで多くの患者を診てきました。

「移動診療」では、本部を出発し、道中専門医を拾いながら医師五〜六人、薬剤師三名、その他スタッフ総勢十数名で無医村地域に入りました。地区の学校やモスクを使って診療をするのですが、周辺の村からも含め数百人の患者がやってきます。

私は専門である整形外科を担当しましたが、朝到着すると既に患者が列を作って待っており、私一人で五〜六〇人/日も診ます。患者は日本と同じで、腰痛をはじめとした関節痛が多く、言葉の問題もあったので、予め主な疾病の病状を黒板に英語と一部アラビア語で書いておいて、当てはまる患者さんに説明し、対応・処置などを話すというやり方になりました。今回合計三回(北部・ラマラー西部・ヘブロン西部)、移動診療に従事しました。

また、ヨルダン川西岸北部・アルシーファ診療所でも医療活動を行いました。この診療所には「診療時間」がありません。二四時間開けっ放しで、いつでも患者が来れば診療するというものです。外科・内科を問わず、あらゆる病気・怪我を診ましたが、パレスチナでは傷を縫うのに麻酔をしないことには驚きました。何針も縫うような大きな傷でも、局所(部分)麻酔もせず、子どもも消毒だけでじっと耐えていました。

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