更新日:2005/08/17(水)
[コラム] バリアのない街9/介護における「医食同源」
──遥矢当
「普通の家庭に栄養士がおるんか?普段からいちいち栄養考えたモン食っているんか?食べる物が無かったら、インスタントラーメンを食べなあかん時だってあるやろ!高齢者にとっての『家庭的な食事』とはそんなもんや!」
改めて書き出してみると、やはり驚くしかない。これは、現在私が関わっている兵庫県西宮市にあるグループホームの経営者でもある医師の発言だ。彼は私に向かって最後にこう言った。「食事よりもケアに当たりなさい」。
このグループホームは会社経営なので、医師の発言は「社命」である。私は黙って聞くしかなかった。確かに家庭の中には栄養士はいないだろう。スローフードや健康食品が注目を浴びても、栄養学的な知識が世間一般に流布しているとは言いがたい。しかしこうした発言が、健康管理を担う医師として許されるのだろうか。
グループホームに調理スタッフはいない。食事は入居者と共に考え、作り出していく。そして「家庭的な雰囲気を重んじる」とされるグループホームに住む人は、認知(痴呆)症の高齢者だ。住む人達に代わって食事を選ぶべき立場のスタッフが、インスタントラーメンを選ぶ理由は一体何か。
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