[コラム] 仕組まれたイラク戦争 きくちゆみ
口を閉ざすブッシュ
米国のジョン・コンヤーズ下院議員(民主党/ミシガン州選出)が、六月一六日に「ダウニングストリート・メモ」について公聴会を開き、その後、イラク戦争に関する真実を求める五六万筆の署名をホワイトハウスに提出したことは、日本で報道されたのだろうか。
ことの発端は、五月一日にイギリスの「サンデータイムズ」が報じたイギリスの情報部(MI6)による「Downing Street Memo」の存在だ。このメモには、イギリス情報部長官の発言も含まれる。このメモが本当なら、ブッシュ大統領はイラク戦争が始まる半年以上前からイラク攻撃を正当化するための工作を、ブレア首相に指示していたことになる。実に、ブッシュ大統領の失脚にもつながりかねない、あるいは、少なくとも米軍のイラクからの早期撤退につながる大事件なのだ。
イギリスではこのメモを巡って国会が紛糾し、メディアが競って報道したこの大事件を、アメリカのメディアは黙殺した。もちろん、米国追従の日本のメディアも沈黙を続けている。このサンデータイムズの報道を受けて動いたのが、アメリカ民主党でミシガン州選出のコンヤーズ下院議員。彼は、五月五日に公開書簡をブッシュ大統領に送り、このメモの真偽について説明責任を追求していた。ところが、ブッシュ大統領は回答を拒否。
そこで彼は、米国民にサポートを求めた。たくさんの署名を集めて、その圧力でメディアを動かしホワイトハウスを動かそうと呼びかけたのだ。はじめはなかなか集まらなかった署名も、アメリカ最大のサイバーアクティビスト集団であるMOVE ON(登録者数は二〇〇万以上)が加わると、彼らのネットワークだけで何と三六万の署名を集め、ここから一挙に五〇万人を越える大合唱となって、ついに六月一六日の公聴会へとつながった。 (MOVE ONのホームページ)
公聴会には大手テレビ局を含む八〇ものメディアが詰めかけたが、放映されないか扱いはとても小さかった。しかし、コンヤーズ議員の勇気ある行動と、MOVE ONのおかげで、それまで全米でほとんどなかったこの件に関する報道が、地方メディアを中心に一挙に一六〇〇を越えた。これぞインターネットを使った草の根民主主義のパワーではないか。
やったぜ、MOVE ON!日本でもこういうことをやれないだろうか。きっとやれるはず。グローバルピースキャンペーンでも挑戦したい。それには、私たちのニュースを読んでくれるサイバーアクティビストがもっと増えてくれると、より効果的だ。まだの方はぜひ登録をしてほしい(現在は二万人ぐらい。グローバルピースキャンペーンのホームページ)