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更新日:2005/07/30(土)

[コラム] 「親は無くても子は育つ」社会を! 山村千恵子

憲法24条(男女同権)改悪への動き

憲法第二十四条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

二 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

父子家庭と母子家庭はどちらがまし?

「子どもの時、おもちゃを買ってもらった記憶がないのよ。だから子どもにいっぱい買ってやって、結構自分が遊んでいる」と彼女はいう。それでも父子家庭に比べれば、母子家庭の方がよかったと。金銭的には辛いことが多かった。それでも「まし」なのはなぜか。父子家庭は、親なし子と同じだから。

正社員として一応の出世を望めば、定時に帰宅することは難しく、「内助」がなければ到底果たせない勤務実態がある。必然的に、育児の喜びと責任からは疎外される。そして「内助」を受けることなど期待できない女性は、結婚と出産を選んだ段階で、仕事上の出世はおろか、正社員の地位すらあきらめさせられ、育児専任者になる。「子どもを持つことのリスク」を女性だけが単独で背負ってきたのだ。

最近、男性にも育児休暇をとる道が開かれた。しかし育児をとるか、社会的地位をとるか、いまだに両立は難しい。このようにして、男女合わせて一人前、という一単位にされていく。

家庭が社会の一単位?

家族を一単位として、強固な社会基盤(国家)を築こうとする動きがある。ジェンダーという言葉を嫌悪し、男は男らしく女は女らしく、それぞれの特性を生かした運命共同体としての家庭作りを進めようというのだ。改憲の刃は、憲法九条だけに向けられているのではない。男女同権を唱える憲法二十四条を見直そうという動きが出てきた。

私ももちろん、性の個性は認める。弱々しい男性に母性愛を感じることがあり得るとはいえ、一般的には、いわゆる「男らしい男」に惹かれる女性が多いことも認める。それでもなお、男らしさ・女らしさが強調される社会では、女性は補助的な位置に固定される。

「マンションを買ったが、男女共用トイレで、汚れると困るから腰掛けて小便して欲しいと言われた。どうも男の沽券が…」と苦笑いの男性がいた。立つかしゃがむか、これは単なる性の個性なのだけど、しゃがんで用を足す形態に「女のプライド」を感じる女性はいないだろう。

クラス名簿を男女混合式にしたことにも、「行き過ぎた平等だ」との批判がある。名簿の順番などつまらないこだわりには違いない。しかし、単なる区別が、無意識のうちに「ひかえめ」圧力になる。

憲法24条は守るべきか?

両性の平等?なぜ両性なのか。同性夫婦があってもいい。それに、家庭・家族を社会の核に据えるべきだとも思わない。女性だけが単独で背負っている「子どもを持つことのリスク」を、男性も引き受けることで、それはリスクではなくなっていく。男性も分担するということは、そのまま社会が引き受けることに繋がっていく。子育てや社会保障を、家族だけに押し付けず、社会がバックアップすることによって、母子家庭も父子家庭も、差がなくなってくる。そして「親は無くとも(差別されることなく)子は育つ」社会になっていくべきだ。

そういう意味で、二十四条はもはや小さすぎる服になったような気がする。しかし自民党の爺さんが進める改憲は、行きすぎた男女平等の是正にあるということで、これは見逃せない。人口の半分を占める女性たちの意識が、後戻りするとは思えないが、議員は圧倒的に、旧世代の男性に占められている。九条に気を取られているスキに改悪されてしまうことが恐ろしい。九条と共に、二十四条からも目が離せない。

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