[社会] 派遣労働者の解雇=契約途中解雇を許さない 派遣先企業に謝罪と解決金の責任をとらせる
──管理職ユニオン・関西 書記長・仲村実
でまかせの解雇理由を粉砕 初期目的の達成
Aさんは、派遣元企業S社から派遣先企業N社(本社は大阪、Al圧延品の製造販売をする株式会社)の工場に事務用機器操作業務として派遣されていました。
昨年五月末の相談内容は、「昨年一月頃からセクシャルハラスメントを含む噂に困っている。四月初めから派遣元の担当者、派遣先の指示責任者に相談をしたが、真剣に対応してくれなかった。その事実究明と責任追及をしたい」ということでした。組合は、証拠集めをするようにアドバイスしました。
しかしAさんは、ストレスがたまり証拠集めも進まないまま、疲労のため数日の欠勤を二度取らざるを得なかったのです。
二度目の欠勤をした六月後半、派遣元から契約解除通知がありました。Aさんがこの通知の約一ヶ月前から「セクハラ被害の訴え」と「職場の改善」を派遣先・元に依頼していたからです。
このことに対する双方の責任回避のための契約途中解除=解雇通告だったのです。
一回目の団体交渉で、派遣元S社は「派遣先から『業務縮小』を理由とした、契約途中解除通告があった」としました。派遣先N社も理由は「『業務縮小』のみで、業務量が減ったので途中解除した」としました。組合はこの交渉で、会社の主張をじっくり聞く姿勢をとりました。
この時の交渉では、セクハラ被害問題には軽くふれた程度で、解除理由とされた『業務縮小』批判として『本人への事前説明』も『解雇回避努力』も、一切行なわれていないことを追求しました。派遣先へ『業務縮小』の実態説明を求め、派遣元へ解雇手続き不備を追求し、解雇撤回と生活保障を要求しました。
二回目は、派遣先N社の代理人弁護士が出席しました。解雇理由に「Aさんが欠勤する」と追加してきました。これは前回団交で出た「業務縮小」が責任回避のためのでまかせ理由であったことを自己暴露しました。
派遣元S社は、交渉冒頭「休業補償は行います」としましたが、終了時には「契約期間の一二月まで全額支払ます」の前進回答をしました。組合としては、当初の目的としてAさんの生活基盤の確保を考えていましたので、まずは初期成果を達成しました。そして、次回団体交渉期日を三者で決めました。