[社会] 兵庫・大阪/猪名川上流ごみ処理施設建設 談合と関西ウラ社会の錬金術
編集部より
「法外な土地買収価格も超高値の建設費落札も、利権屋への裏金をいかに捻出するか?という一点で、仕組まれ、ごり押しされているんです」。ゴミ処理施設建設に反対する住民の一人は、こんな背景を語る。
川西市を中心とする猪名川上流広域ゴミ処理施設建設(川西市・猪名川町・能勢町・豊能町)は、土地取得からプラント建設まで常軌を逸する高額取引が続いている。建設用地買収価格は、u当たり実勢価格の約100倍、施設建設価格は、他市の同種同規模施設との比較で2.4倍という高値なのだ。
3月に行われた猪名川上流ゴミ処理施設組合(以下施設組合)臨時議会で、反対派議員から超高額落札の理由説明を求める質問が出たが、当局は答弁不能となる始末。それでも決を採れば、賛成多数で承認されるのだから、摩訶不思議としか言いようがない。
談合で価格をつり上げ、ヤミの利権集団への裏金を捻出。こうした構図の中で大手ごみ処理施設メーカーとヤミ集団の食い物にされるごみ処理施設建設の内側に迫ってみた。(編集部)
同種同規模施設比較・二倍余の高値落札 施設組合事務局ごり押し、議員盲従
「処理トン単価は随分厳しい状況になってきた。…トン当たり四〜五〇〇〇万円だった単価が、突然二〜三〇〇〇万円に下がってしまっている」ゴミ処理プラントメーカー・三井造船環境プラント事業本部長・酒巻三郎氏は、ゴミ処理施設落札価格の低下をこう嘆く。
確かにゴミ処理施設建設費は、大きな価格差が生まれている。表1は、猪名川上流ゴミ処理施設と同種同規模の施設落札結果だ。枚方市と比べると三倍近い超高価格となっている。ただし、猪名川上流ゴミ処理施設がリサイクルプラザの建設費を含んでいるので、この費用=三三億九六三三万円を差し引かねばならないが、それでも猪名川上流ゴミ処理施設は、枚方市や城南衛生管理組合(宇治市・城陽市・八幡市・久御山町・宇治田原町・井手町)と比べて二倍以上の価格となっているのだ。
「もうコストダウンが追いつく水準ではなくなってきている」(酒巻本部長)という売る側=プラントメーカーの事情からすると、談合をしてでも価格を「適正化」せねばという事情なのだ。