更新日:2005/05/27(金)
[社会] JR福知山線脱線事故/JR西日本の人権無視体質と、それに取り組まない労働組合
──管理職ユニオン・関西 副委員長・仲村実
「スピード」「安さ」が売りの福知山線
四月二五日午前九時二〇分ごろJR宝塚線の尼崎事故が発生し、死者一〇七人、負傷者四六〇人の大惨事となりました。
JR西日本は事故のあった宝塚線を「アーバンネットワーク」とし、スピードと定期券の安さを売りに競合する私鉄の乗客を奪っていくために「時間通りに、出来るだけ早く」のもとのダイヤ編成が行われました。「いずれ大事故がおこる」とよく言われていました。事故は、伊丹駅でオーバーランした運転士が遅れた一分半を取り戻そうと「制限速度七〇qのカーブに一〇〇qを超えるスピードで進入したために遠心力が働き、車輪が浮いて倒れながら脱線した『転倒脱線』だった」と断定されつつあります。
過密ダイヤを守り、やさしい運転?!
脱線事故が起きたJR宝塚線では、「直線で飛ばし、カーブ直前で急ブレーキをかける」という運転方法が遅れを回復するための「裏技」として運転士の常識になっていたということです。その背景には、会社からの厳しい「ペナルティー」=「処分と再教育」を恐れる運転士の心理やライバルの私鉄との競争を勝ち抜くために、スピードアップと過密ダイヤとを追い求めてきたJR西日本の姿勢があったことが明らかとなってきました。
JR社員の人から「ライバル私鉄に輸送力で上回るためには、一秒の遅れも許さない雰囲気が社内にあった」し、「急停止・急発車で乗客にショックを与える」こともよくあったと聞かされました。こうした実態のなかでJR西日本は、「乗り心地の向上をめざし厳しいダイヤを守り、乗客にやさしい運転をせよ」との指令も出していたのです。解決しない矛盾を抱えたまま、事故が起こったといえます。
「清算事業団」が常態化した「日勤教育」
運転士が遅れを恐れる。その理由は、処分と「日勤教育」という業務命令だったのです。
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