更新日:2005/05/13(金)
[コラム] バリアのない街第5回/老人福祉と犯罪 その原因は何か?
──遥矢当(はやと)
殺人未遂事件
「高齢社会」では高齢者による犯罪が当たり前の如く起きる事になるかも知れない、と思う事件が起こった。
新年を迎えて一段落を得たある日、東京の後輩から一本の電話を受け取った。「…遙矢当さんが勤めていた施設の利用者の方が逮捕されました」。
私も驚かずにはいられない。以前勤めた施設の男性の利用者がトラブルを起こし、その腹いせとして出身の自治体で介護と生活の対応に当たっていたソーシャルワーカーに対して、凶器を用い殺人未遂を起こしたという話であった。
問題の男性高齢者は、生活の自立を前提とした養護老人ホームに「措置(そち)*注」で入所していた。この男性は、私が約三年介護を受け持った期間内でも、特に素行に問題があり、しばしば出身の自治体と対応が協議されていた。
結局、私が退職した後で、「施設の規則を遵守出来ない」という理由で退所となってしまう。以降、住居を失った男性は、自治体が引き続き介護を担当していた訳だが、その後の対応は宙に浮いたままとなっていた。
結局、今回のトラブルに関しては、司直の手による新たな対応が選ばれる結果となってしまった。彼のこれまで過ごした生活を今後認めない司直の姿勢は、私にとって仲間によるこれまでの介護を否定された事でもある訳で、それは悔しい事態になった。
* 注(措置(そち)=介護保険とは違い、生活上特に経済面や社会的事情などにより各自治体の公費で福祉事業への対応がされる)
隠される施設内犯罪
犯罪に追いやる孤独
続きは本紙 【月3回発行】 にて。購読方法はこちらです。