[社会] 増殖する監視カメラ
監視社会を拒否する会事務局 飯島和夫
監視ネットワークの行き着く先は自由なき社会
監視社会を拒否する会は、次のようなテーマにとりくんできました。
@セブン─イレブンの監視カメラ〔ニュース一〜二号〕
店内は多数のドーム型カメラで死角なく撮影され、すべての映像がネットワークを介して綜合警備保障のセンターに伝送されて集中監視されています。「コンビニを第二交番にする」という生活安全警察の指導を受けて構築した監視システムです。
A都営地下鉄の警察専用カメラ〔ニュース四号〕
改札口とトイレ出入口を撮り続けている「K」印のカメラは、警察から要請のあった時に録画映像を提供するための警察専用カメラだということが、私たちの調査でわかりました。都営地下鉄全線で、現在二四六三台のカメラが運用され、二〇〇三年一〇月からの半年間だけで、警察からの「閲覧要請」は二〇回にのぼり、すべて録画映像が提供されています。
B「治安の悪化」というべき事実はない〔ニュース六号〕
「防犯カメラ」拡大のために、日本の「治安の悪化」が叫ばれています。けれども、犯罪統計を正確に読み解けば、どこにも「治安の悪化」を示す数値はありません。増えたのは、警察が犯罪としてとりあげた「犯罪認知件数」です。日本の犯罪被害件数は、現在でも、世界で最も低い水準です。
C監視カメラに防犯効果は無し〔ニュース六号〕
イギリス内務省の調査レポートでは、駐車場の車上荒らしにわずかの効果があるだけで、あとは効果無し、街灯を設置して明るくする方がよほど効果があったのです。
D増え続ける商店街カメラの実態〔ニュース八〜一〇号〕
新聞報道からピックアップしただけでも、本年二月現在で、一〇五地区に二〇〇〇台を超えるカメラが新設されています。実数は、数十倍〜数百倍にのぼるはずです。
E国民皆犯罪者論=「犯罪機会論」〔ニュース七号〕
犯罪の機会があれば誰でも犯罪者になる∞機会なければ犯罪なし≠キャッチフレーズにして、「犯罪の機会を奪うこと」が最高の犯罪対策だと押し出し、街中を監視カメラだらけにすることを正当化する危険な「理論」です。監視カメラ設置推進者は、全国民を監視対象にしていることがよくわかります。
戦時下の「人権抑圧」再現許さず監視社会化に反対しよう
──私たちがおこなった調査や検討によってわかったことは、日本の治安の悪化というのはウソ、監視カメラに防犯効果は無しということ。「それでは監視カメラ急増殖の目的は何なのか?」と疑念がわきます。
世界でも無二の「対米協調」国家・日本も「無名のテロリストの攻撃」に怯え、アメリカ式の「テロ対策」を採りいれているのです。監視する側の権力者は、「テロに繋がる動きを事前にあぶり出す」と称して、来日外国人のみならず全国民の一挙手一投足を把握し、管理しようと狙っています。ほんの数年先には、日本全国に敷きつめられた監視カメラネットワークに顔認識技術が組み込まれ、人間版Nシステムが構築されることでしょう。そうなったら、人々の行動は萎縮し、内心の自由さえ奪われてしまいます。
市民のプライバシー、基本的人権をふみにじる監視社会化は、平和憲法を否定し、アメリカによる「対テロ戦争」に協力・参戦していることと不可分です。私たちは、戦時体制下の人権抑圧≠再現させてはならないと思っています。現行憲法の平和主義を堅持し、監視社会化に毅然と反対する必要があります。 ※「NO!監視」ニュースをご希望の方は、左記までご連絡ください。 E-mail kansi-no@pf7.so-net.ne.jp/FAX・〇三─五三二八─〇六五七/http://www009.upp.so-net.ne.jp/kansi-no/ (「Nシステムニュース」第三五号・三月三一日)
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