[海外] パレスチナ/イスラエルの高校生たちが占領政策に「拒否宣言」
──翻訳/脇浜義明
訳者より
今年3月、250人のイスラエル高校生が、占領・抑圧政策の廃止と、自分たちは占領・抑圧政策に加担することを拒否する公開書簡を、イスラエル政府に送った。以下はその書簡の訳。(訳者)
国粋的・メシア思想的なイスラエルの政策
アリエル・シャロン首相
シャウル・モファズ国防大臣
モシェ・ヤアロン参謀長
リモール・リヴナト教育大臣
殿
下に署名した私たちイスラエルの少年・少女は、民主主義、人道主義、多元文化主義の価値の大切さを信じ、その信念に基づいて、イスラエル政府が続行している占領と抑圧政策に加担することを拒否します。私たちは多様な家庭背景をもつ高校生ですが、上に述べた価値観が公正な社会の基本であると考えている点で、全員一致しています。すべての人は、生命・平等・尊厳・自由への権利をもっています。私たちは、自らの良心とイスラエル国民としての自覚のもとで結束して、これらの権利を守る行動に立ち上がり、占領・抑圧政策加担を拒否するのです。
占領は人間の尊厳を破壊し、生きる権利を大規模に侵害します。何百万人もの人々の基本的人権を踏みにじり、毎日多くの人々の生命を奪い、言語に絶する悲惨と苦痛を課しています。土地を奪い、住居や公共建物を破壊し、裁判なしで逮捕・処刑を行い、何の罪もない人々を犠牲の血祭りにあげて殺害し、多くの人々を飢えに追いやり、病人や怪我人の医療を妨害し、集団的懲罰を頻繁に行い、一方で入植地建設・拡大をどんどん進めています。
このため、占領地ではもちろん、イスラエルの中でも、人々が普通の日常生活を送る権利が否定されています。この目に余る破廉恥な人権蹂躙行為は、私たちの世界観と相容れないばかりでなく、イスラエル自身が署名し批准した国際条約にも違反するものです。
占領はイスラエル国とイスラエル国民の安全に何一つ寄与するところがありません。それどころか、むしろそれを悪化させるものです。パレスチナ人の絶望を深め、憎しみを煽り、テロリズムの温床となって、イスラエルとパレスチナの間に流血の川を流すばかりです。本当の安全は、占領を終結し、パレスチナ人を閉じ込めるアパルトヘイト壁を解体し、パレスチナ人の指導者や周辺アラブ国の政府と和平を結ぶ努力をすることによってのみ達成されます。
現在イスラエル政府が行っている政策は、軍事上の必要に基づくものでなく、途方もない国粋的・メシア思想的夢想によるものです。