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更新日:2005/04/10(日)

[海外] パレスチナ/パレスチナ人の生活道路を封鎖するイスラエル軍
──グーシュ・シャローム事務局長 アダム・ケラー 翻訳/脇浜義明

外国人支援者たちが西岸の町・カドムに集結

クフル・カドムへの道は長く、複雑だった。テルアビブを出てから、何度もセルビス(乗合タクシー)を乗り継ぎ、途中の町角でインターナショナル(外国人支援活動家)を拾いながら進んだ。どの町角も、アラビア語・英語・ヘブライ語の落書きやポスターでいっぱいだった。「占領反対!」「パレスチナに自由を!」の横に「アラブ人と裏切り者に死を!」「エレツ・イスラエル(イスラエルの地。パレスチナのこと)はユダヤ民族の土地。それが神の意志だ!」があり、アブ・マゼンの笑顔の写真ポスターもあった。

前方からイスラエル軍のジープがやって来たが、私たちには目もくれずに通り過ぎた。ヒジャを過ぎると難行苦行が始まった。カドムの人たちが毎日経験している難行苦行だ。曲りくねった剥き出しの地道を、土埃をたてながら、急な坂を登ったり下ったり、穴ぼこや石の衝撃で頭を天井にぶつけながら進んだ。「今日はまだ通れるだけマシですよ。一週間前の雨の時は一面泥沼でした」と案内役のパレスチナ人が言った。

やっと到着。人口四二〇〇人の町で、町民センターの役割を果たしている町役場兼郵便局の建物の前で降りた。約二五人。「壁打倒!」文字の入ったTシャツ姿のアナーキスト団の若者が目立った。「マソヒム・ウオッチ」(検問所の兵士の人権蹂躙を監視するイスラエルの女性団体)の女性たちはすでに到着していた。彼女らは、ヤフィド・ジャミラ・ビッソの案内で、別ルートを通って徒歩でやって来た。ヤフィド・ジャミラ・ビッソは、一〇年ほど前にシリアからやって来た活発な女性で、流暢なアラビア語でマソヒム・ウオッチの活動を助けていた。顔馴染のインターナショナルもいた。スイス育ちのフランス人ドロシーは、もう長い間パレスチナのハレスで暮らしていて、そこを「私の村」と呼んでいる。南アフリカのイスラム教徒ファティマの顔もあった。ストックホルムから来た二人の活動家は、それぞれ別個の支援団体に属していて、この西岸地区で初対面だった。

パレスチナ人が私たちに冷たい飲み物を配ってくれた。私はファラフェル(アラブのサンドイッチのような食べ物)を買ったが、店主は代金を取らなかった。

道路封鎖に抗議するイスラエルの友人たち

町長と助役が私たちを歓迎し、町の状況を説明した後、その日の行動を提案した。アナーキスト団のヨナサンが「軍や入植者とのやり取りはどこまでやってよいのか、あなた方の指示に従います。私たちは連帯のためのお手伝いに来たのです」と言った。アッサド・シュタワ町長は「もし今日の行動が暴力沙汰になったとしても、私たちの側は暴力をふるってはいけません」と答えた。彼は、長年草の根でファタハの活動をやってきたことを評価されて町長になった人である。アブ・アラブ助役が現況を説明した。

私たちは、すでに大まかな現況は知っていた。カドム町と外の世界を繋ぐ唯一の舗装道路を跨ぐように「クドゥミム入植地」が作られ、入植地警備員が町民の通行を禁止し、それを軍が支援しているのだ。しかし、助役の説明で、日常的な町民の苦しみが理解できた。「舗装道路でセルビスを使うと、六シェケル(約一五五円)でした。今は悪路の山道へ迂回しなければなりません。自動車がすぐ傷むので、車代は二六シェケル(約六七〇円)請求されます。多くの人、特に失業者にとって、町の外へ出ることは手が届かない贅沢になっています。私たちは囚人になってしまったのです。シャルム・エル・シェイク会議以降、軍はあちらこちらの村の入口封鎖を解きました。それは嬉しいことですが、私たちの町は別扱いです。クドゥミム入植者はシャロン政府に特別な影響力をもっているのでしょうか」。

空き地は人でいっぱいになった。デモ隊列が整った。若者・老人・作業服姿の者・きちんとした服装の者、さまざまである。頭を布で被った伝統的なムスリム女性、頭に何もつけてないが、腕にパレスチナ医療救急委員会の腕章をつけた若い女性。アラビア語と英語で書かれた横断幕とパレスチナ国旗が広げられた。「この闘いを共に闘うためにやって来られたイスラエルの友人たちを歓迎します」と、スピーカーからヘブライ語が流れた。イスラエル国旗とパレスチナ国旗を重ねたグーシュ・シャロムのステッカーを貼って行進するパレスチナ人もいた。傍らの家の庭から、数人の幼子をあやしている中年女性が激励の手を振っていた。

「私たちは道路を取り返すまで運動を続ける」

やがてクドゥミム入植地の擬似欧州様式の建物の赤い屋根──旧約聖書物語の直系を自認する人々にしては不釣合いな建物だが──が見えてきた。

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