[社会] 大阪城公園の野宿テントを工事用フェンスで囲い込み
支援策ないままひたすら「排除」の大阪市
大阪城公園野外音楽堂の上(「ピースおおさか」裏)のスペースは、現在工事用フェンスで囲われている。これは、大阪城公園の南側、大手前・城南地区の整備工事に伴うものだ。問題の場所付近には、駐車場や遊歩道が作られる計画になっている。
その中に二軒の野宿テントがあるが、フェンスはそれぞれのテントのすぐそばまで、ぐるりと張り巡らされている。さながら、テントが大阪市(公園事務所)によってバリケード封鎖されたようでもあり、工事用フェンスで作られた迷路が出現したかのようでもある。
「こんな囲い方は、野宿している仲間へのものすごい嫌がらせや」「だいだい、襲撃や放火されたりしたら、逃げ場がない。死んでしまうよ!」「公園事務所は、責任取れるんか 」──窒息させられんばかりにフェンスで取り囲まれた現状を目にして、野宿の仲間や支援者は、大阪市のやり方に怒りを隠さない。
三月三日、当事者と失野実(失業と野宿を考える実行委員会)のメンバーは、大阪城公園内にある東部方面公園事務所に押しかけ、副所長の藤田氏に対して、「問題となるフェンスを撤去し、非常時のために避難の経路を確保すること」を要求した。
それまでも失野実は、@野外音楽堂上の「植栽工事」について詳細を明らかにすること、A工事にあたって、テント移設すら認めずにシェルター入所のみを強要するな、等を申し入れてきた。
ところが、藤田氏は申入れ書の受け取りすら拒否し、野宿者には「今週から工事が始まるから立ち退け」「シェルターに入れ」と言って回っているくせに、いざ追究されると「テントの皆さんには、シェルターに入っていただくように説得を続けます」「生活保護や福祉についても、案内や相談に乗らせてもらってます」とごまかすのだった。
追い出しの名目に過ぎない福祉・生活保護
公園事務所が言う生活保護・福祉とは、具体的には大阪市内に三ヵ所ある「自立支援センター」への入所を指す。入所期間三〜六ヵ月の間に、職業訓練や仕事探しを行うという。しかし実態は、職業訓練は行われておらず、仕事探しにしても、職員が「ホームレス自立支援センターですが」と名乗る形の求職活動では企業側の反応も鈍く、入所者自身が仕事を探さざるをえないのが現状だ。面接や就職にあたって行政のサポートはないといってよい。