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更新日:2005/03/19(土)

[海外] パレスチナ/またシャルム・エル・シェイク 何かをもたらしたのか?
──ウリ・アヴネリ 翻訳/脇浜義明

和平交渉 出席しなかった主役たち

今回のシャルム・エル・シェイク会議は、参加していない二人の人物の影が色濃く漂っていた。一人はブッシュ。席についていた四人は、みんなブッシュの影を背負っていた。ムバラクは毎年米国から二億ドル貰っており、親イスラエル・ロビーの影響下にある米議会もそれを支援している。アブドーラ王の受け取る金額はそれより少ないが、米国の援助に依存している点では同じだ。シャロンはブッシュとシャムの双生児で、ブッシュなしでは動きがとれない。彼がブッシュの気分を害するようなことをすることは考えられない。アブ・マゼンも、彼なりの立場で、ブッシュがパレスチナを占領から解放して、国家樹立を助けてくれるものと期待している。

では何故米国は会議に参加しないのか。理由は簡単で、不首尾に終わるかもしれないものに肩入れする危険を避けたのだ。成功するものなら必ずしゃしゃり出る。「今はまだ出番じゃない」というわけだ。

もう一つの影は、アラファト。そもそも彼の不可思議な死がなければ、この会議は開かれなかっただろう。彼が死んだから、シャロンは、腹心のドヴ・ワイスグラスが使った表現を借りれば、「和平をホルマリン漬け」にする口実を失ったのだ。彼はアラファトを悪魔化して和平サボタージュの口実に使ったが、できれば同じことをアブ・マゼンにもする機会を狙っていることは確かだ。

アブ・マゼンはスピーチの中に、アラファトの名を間接的にだが、入れるのに成功した。彼は、すべてのパレスチナ人と同様、現在進めている新戦略がアラファトの四五年に及ぶ闘いの上に立っていることを知っている。第一次インティファーダがなかったらオスローはなかった。第二次インティファーダがなかったら現在のシャルム・エル・シェイク会議もなかっただろう。パレスチナ人の激しい抵抗があったからこそ、それをイスラエル軍が制圧できなかったからこそ、シャロンはテーブルにつくことに同意したのだ。パレスチナ人は自尊心を回復し、ブッシュがイスラエルに占領地撤退を迫るしかないだろうと期待している。

「アラファト悪魔化」は死後も続いている。イスラエル左派と右派は「心温まる団結」をして、ほぼ毎日のように、テレビや新聞を通じて、アラファトが和平への障害であったと言っている。占領、入植地、ネタニヤフ―バラク―シャロンの政策が和平への障害であったとは言わない。アラファトだけが悪かった。そのアラファトが死んだからシャルム・エル・シェイク会議が成立したのだ、と。

米国のライスは、ラマラの議長府を訪れたが、外交辞令としてもアラファト墓前に献花しなかった。すればパレスチナ民衆の好感を得ただろうに。しかしアラファトの大きな写真を背景に、アブ・マゼンと握手するところを写真撮影することに同意した。写真のアラファトは、あの狡猾な笑いを浮かべて見下ろしていた。

長い道のりは危険な道のり

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