[コラム] 破綻目前の空港財政に税金投入もくろむ神戸市
──讃岐田訓(神戸水環境研究所)
神戸市の矢田立郎市長は一月四日、神戸市の経済界や兵庫県や神戸市の幹部が集う新年合同祝賀会で、神戸空港の開港を来年二月一六日とすることを正式に発表した。
ところが、依然として空港財政収支は大ピンチである。空港建設費三一四〇億円のうち、借り入れた建設資金を土地売却収入で返済する事業費二七八〇億円の返済の目処が立たない。予定していた民間への土地売却がゼロなのである。ターミナルビル建設用地と駐車場用地を買い上げるはずであった神戸空港ターミナル会社は一切買おうとせず、賃貸になるという。
この会社は、神戸経済界(神戸商工会議所)を中核にして大手航空会社・神戸市・兵庫県などでつくられた第三セクターである。そしてこれらの構成メンバーは、ごり押しに建設を推進してきた「神戸空港建設推進協議会」と、ほぼ同じメンバーでもあるのだ。
彼らは、三一四〇億円というおいしいパイを寄ってたかって食い漁りながら、土地購入の金を一銭も出さない。まさにタダ食いをして、甘い汁を吸い続けている。
ところが、このたび神戸市は、駐車料金もタダにする方針を決定したという。管理経営するターミナル会社は、賃貸料の値引き交渉に入るという。なんなんだ、こいつらは! 一方で「着陸料も大阪空港の半額にする」という案もリークされている。空港経営の採算をまったく無視したこの計画は、何を意味するのか?
矢田市長は選挙戦の公約として、「空港建設には市税を一切投入しない」とした。今年秋には、再び市長選がある。矢田は今回も、「税金には一切手をつけない」と言うだろう。当面は、起債の追加発行や、借り換え債の活用、新都市整備事業基金からの追加借り入れなどで急場を凌ごうとするに違いない。しかし最終的には、税金投入になだれこもうとしていることは、明々白々である。
税金投入の地ならしは、すでに実行されている。舞子の浜を埋め立てて造成した「アジュール舞子」が財政破綻し、五二億円もの金が一般財源で補填されたのである。
こんな事態の中で、我々がやるべきことは何か。税金は、びた一文使わせないこと。このことを繰り返し繰り返し追及し、確実に財政破綻に追い込むことである。空港経営を断念させること、そして究極的には空港護岸を撤去させ、大阪湾を海洋破壊した責任を償わせることであろう。