[社会] 「愛・地球博」開催のために野宿テントを強制撤去
──長居公園仲間の会 中桐康介
編集部より
愛知万博開催に向け、名古屋で野宿者強制排除が始まった。名古屋市は、一月二一日、白川公園(中区)に住む野宿者に対し、テントや小屋などを強制撤去するとした「行政代執行令書」を告示したのに続き、二四日午前八時、強制代執行を強行した。「行政代執行令書」を告示に対し、全国の野宿者支援の人々が集まり、強制撤去阻止の緊急行動を行っていたが、名古屋市は六〇〇人の市職員・ガードマンを動員し、強制撤去を強行したのである。大阪からも「長居公園仲間の会」・「釜ヶ崎パトロールの会」らが抗議行動に参加。一九日には、朝から八〇名ほどで集会・名古屋市への抗議行動を行い、連日早朝に白川公園に張り付き、当局の動きを監視する行動も行っていた。「長居公園仲間の会」(大阪)の中桐康介さんに、現地の様子や強制排除の背景などを寄せていただいた。(編集部)
シェルターと強制撤去で野宿者問題は解決しない!
一月二四日、最後まで残った八軒七名の野宿の仲間のテント・小屋に対し、名古屋市はついに行政代執行に着手した。六〇〇人の市職員・ガードマンを動員した強制排除だった。
午前八時、突如として現れた市職員らは、公園内の対象区域をフェンスで囲った上でいっせいに襲い掛かってきた。仲間は「話し合いは終わっていない」と抗議するも、職員は「話すことは何もない。これまで話し合いはやってきた」と言い切った。「あんなのは話し合いじゃない!脅迫というんだ!」と、ひとりの仲間が叫んだ。市職員の号令のもと、一人ずつ無表情のガードマン五〜六人に抱え上げられてフェンスの外に放り出された。私もトラメガで抗議している真っ最中に排除された。そのようにして力ずくで、仲間の排除と荷物の撤去とテントの解体が開始された。
名古屋市職員は「私もこんなことはしたくない」と、のたまった。ガードマンを盾に最後まで自らの手を汚そうとしない彼らに「こいつらこそ偽善者だ!笑いながら人を殺す輩だ!」と強く思った。またガードマンたちの中には高齢の労働者や学生アルバイトらしき人たちも多く見受けられた。不安定な雇用を強いられ、いつ野宿生活となってもおかしくない彼らと対峙せざるを得ない現実に、言い知れぬ悲しさがこみ上げてくる。本来手を携えて支配と闘うはずの者同士が、闘い合わされる。これが戦争だ!
午後一時三〇分ごろ、すべての仲間がフェンス外に排除され、すべてのテント・小屋がつぶされた。白川公園に「平和」が戻った。
私たちは怒りと悔しさを胸に刻みつけ、よりいっそう団結を固め、闘いの陣形を具体的に作っていかなければならない。がっかりしているヒマはない。まずは住居を奪われた仲間の生活を再建すること。そして、反撃へ!