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西成警察署前での抗議行動(12月5日)
更新日:2005/1/4(火)

[社会] 大阪西成警察署が労働者に踏んだり蹴ったりの暴行 抗議行動を呼びかけた稲垣浩さん逮捕される

「私は今でもハッキリと覚えていますよ。私の顔を踏みつけて、ケガさせた刑事の人たちの顔を!」。大阪府警西成警察署の前で、マイクを握ったIさんの声に力がこもる。周辺に集まってきた数多くの労働者から、「ワシもやられたことあるんや、放っといたらアカンで!」「もっと言うたれ!」と応援の声が上がる。

ここは日雇い労働者の街、大阪・釜ヶ崎。その釜ヶ崎のほぼ中央にある西成署の前で、西成署内での暴行事件へのを受けたIさん・Kさんからの相談を受け、「釜ヶ崎地域合同労働組合」「釜ヶ崎炊き出しの会」の稲垣浩さんが釜ヶ崎の労働者に広く呼びかけて、12月2日から西成署前での抗議行動が繰り広げられた。

無抵抗のKさん・Iさんに大ケガ負わせた西成警察署

この暴行事件が起こったのは一一月二五日夜のことだ。西成署の近くにある西成市民館の前で、Kさんがちょっとしたきっかけでその場で知り合ったAさんと金銭トラブルになった。そこに通りかかったIさんは、仲裁に入ったもののうまくいかず、「それなら警察へ行って話をつけよう」ということになった。

対応に出てきた複数の私服警察官は、KさんとIさんを別々にして、上階の取調室へと連れて行ったのである。

取調室に入ったKさんは、顔にいきなり催涙スプレーをかけられた。加えて、警察官によって踏みつけられ、蹴られ、靴などで頭を叩かれ、逆エビ固めをされるなどして、全身打撲を負った。

一方のIさんは、いきなり手足を持って倒され、これも踏んだり蹴ったりの暴行を受けた。その時、左眉の上と頬の部分に、合わせて六針も縫うケガを負わされた。床は血だらけになり、Kさんは私服警察官が持ってきたトイレットペーパーで血を拭き取された後、出血が止まるまで傷口をトイレットペーパーで押さえていたという。

出血が止まった後、Kさんはドヤに帰ったものの、鏡で見ると傷口がパックリと開いているのを見て、西成署に引き返し、そこから救急車を呼んでもらった。

救急車には西成署から私服警官が同乗。Kさんは杏林記念病院で治療を受けたが、付き添った警察官は、Iさんを色々と気遣う風を装いながら「男の約束だ」と、この暴行の事実を口外しないように口止めしたのだった。

釜ヶ崎の労働者が西成署前で抗議!

「まさか!いくら何でも警察がそんな暴力をふるうなんて」──と思われるかもしれない。しかし、少なくともここ釜ヶ崎ではれっきとした現実だ。

「兄ちゃん、この西成署はな」──西成署前で抗議していた労働者は、記者に語ってくれた。「ワシらをいつもは、傷跡が残らん程度にボコボコにして外に放り出すわけや。証拠を残しよらん。そらぁ、うまいことやりよるで」。

いったい警察官が何の意味があって、どんな「権利」があって無抵抗の人間に踏んだり蹴ったりの暴行を働くのだろう?!

KさんもIさんも警察を頼って来たというのに。Iさんは「自分の胸のうちに納めることも考えましたけど、西成署のやり方は本当に汚い。くやしい。またこんな事件を繰り返したらダメだ、そう思って稲垣さんの所に相談に来ました」と胸の内を語った。

西成署前の抗議行動で、周辺に集まってきた人々に稲垣さんはマイクで訴える。「警察のやることゆうたら、野宿してる人への威圧とか、露店を営業している人への妨害行為とか、そんな弱い者いじめばっかりや。釜ヶ崎の労働者の皆さん、警察の暴力に泣き寝入りしてたらアカンよ!」

抗議行動は四日間連続で続けられ、多くの労働者が西成署への抗議の声を上げた。大阪府警は多数の私服警官・公安を動員し、暴行の事実を一切認めることはなかった。マスコミの取材に対しても警察側は「Iさんがケガしたのは、署内で転んだからで、暴行の事実は一切ありません」とうそぶくばかりであった。

寒い中にもかかわらず多くの人々が集まったのは、警察に対する日頃からの怒りや不満が積もり積もっているからだ。これまで幾度となく起こった「釜ヶ崎暴動」にしても、そのきっかけとなったのはいずれも西成署による釜ヶ崎の日雇い労働者への差別的・暴力的な対応や、警察の汚職事件だ。

「暴行していない」とうそぶく警察とグルの病院・消防署

今回の暴力事件には、さらに二つの「番外編」がある。一つは、Iさんが治療を受けた杏林記念病院に後日「診断書」を申請したところ、「Iさんはまだ治療費を払っていない」ことを理由に拒否。しかし稲垣さんが大阪医師会に電話で確認したところ、これには正当性がなく、診断書は無事手にできたのだった。

もう一つは、五日の抗議の中で「救急車に同乗した警察官の名前が記録されているに違いない」「消防署に警察官の名前を聞きに行こう!」と、釜ヶ崎内にある西成消防署海道出張所に押しかけた時のことだ。通りに面したシャッター・ドアを閉めたまま一切対応しなかっただけではなく、消防車を格納している一階のシャッターも閉め、さらに消防署内の灯りを次々に消してしまったのだ。「こらー!あんたら警察とグルか 」。消防署前にやって来た労働者は、そこまでして警察をかばう消防署の有様にあきれ果てながら、怒りの声をあげ続けたのだが、消防署は静まりかえったままであった。

「国営暴力団」。釜ヶ崎の人々は誰言うとはなく、西成署のことをそう呼んでいる。釜ヶ崎内の一四ヵ所に設置された監視カメラで、人々の日常を監視し、事ある度に釜ヶ崎を初めとする日雇い労働者や野宿生活者、露店を出す人々に、「弱い者いじめ」の暴力・威圧を続ける西成署への闘いは、これからも続いていくことは間違いない。(編集部 小比類巻)【本誌に関連記事】

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