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更新日:2005/1/3(月)

[コラム] 「地域の安全運動」はファシズムの先鋒隊だ
──深見史

戦争国家の礎=「社会不安」を煽るのが民衆支配の定番

安定支配のために、社会不安を作ることは民衆支配の定番であり、また外に向かって進撃するために、内に敵を作ることは戦争体制化の定番だ。

社会不安をあおり立て、「規制・防御体制を作らなければならない」という風潮を作り上げ、「テロの時代」という言葉を定着させることに、今ほぼ成功したかのように見える。

戦争国家化を望む者の要求に沿って、マスコミどもは外国人犯罪が増えているというキャンペーンを張った。「少年犯罪が増えている」「外国人が凶悪犯罪を起こす」という偽情報の垂れ流しによって、「少年・外国人犯罪の凶悪化・増加、それによる社会不安」は定説化してしまった、と言えるほどだ。

警察庁のデータでいうところの「不法滞在者」の凶悪犯(強盗・殺人・放火・強姦)検挙数は全体の二%程度にすぎず、なお減少傾向にある。刑法犯の実数で言えば、外国人犯罪より公務員犯罪のほうが多いのだ。「不法滞在者が治安悪化の原因」というのは、少し調べれば誰にでもわかる大嘘だ。

また、少年被疑事件の総数は年毎に減少し、殺人事件は昭和三六年頃をピークに大幅に減少している。二四歳以下の受刑者は減少、少年院や鑑別所に入る少年も横這いか減少傾向にある、というのが事実だ。

この、演出された「暴力が街にはびこる時代」にふさわしく、巷に自警団が闊歩するようになって久しい。

五年前に法人化し、自治体と組んで街頭「浄化運動」を行っている、赤いベレー帽を被った例の集団は、一九七九年にニューヨークのマクドナルド前の「浄化」から誕生した「犯罪防止NPO」だ。現在、世界一一ヶ国で日々「浄化」のために活動している。

彼らは街をパトロールし、「犯罪防止」に貢献するだけではない。「インターネット内の悪質な犯罪をチェック」するなど、「オンラインの犯罪防止としては世界最大の機関・団体である」(同団体HP)。

また、小学生を対象としたプログラムもあり、小学校のPTAを対象とした学区内のパトロールの指導を行なっている。彼らの活動が見られるようになったころから、各地で住民によるパトロールが通常の光景となった。

かつて戦争を下から支えるために、「大政翼賛会」のもとに組織された町内会が、その出自を問うことなく「自治会」として生き残り、アメリカ出身の赤ベレー帽と共に「地域の安全を守る」ために活動している…。

頻発する凶悪犯罪から地域を、子どもを守ろう…それは、不安な社会、だめな社会を自分自身の手で守ろう、変えようという、まったく正しい「社会運動」の動き──なのだろうか?

不安…住民参加…ボランティア…浄化、と続く言葉の後ろには、どんな言葉が続くのか。日本の風土に根ざし、無理なく、十分に合意をもって準備され、組織されたこれら「自主的な住民運動」こそ、「下からの運動」としてのファシズムの先鋒隊、もっとも手強い排外主義と侵略の砦ではないのか。

「ナチズムという歴史的なテーマと向き合う時、それが主観的には革命を目指す社会運動だったという事実を看過することはできない。そして、この革命というのが、破壊と殺戮と抑圧支配との代名詞などでは決してなく、抑圧からの解放と豊かさの実現を、新しい秩序と新しい倫理との建設を目標として掲げるものだったことをまず直視する必要があるだろう」(池田浩士「ドイツの運命」解説)

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