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更新日:2004/11/21(日)

[政治] 東シナ海の天然ガス採掘問題/「理屈よりも物が先」の中国

東シナ海で中国がガス田を開発・掘削していることについて、日中両国政府間で協議が始まりました。我が国政府の中国政府に対するあまりの弱腰に、私は憤慨しています。

事の発端は三年前、日本の海上保安庁巡視艇が日本に向けて進行中の北朝鮮の船を発見。これを拿捕すべく追いかけましたが、東シナ海の洋上で捕捉・撃沈します。

これに対して、中国政府は直ちに反応、「家の庭先を汚された」と、不快の念を示します。私はこの中国の反応を奇妙に思っていましたが、この時、既に中国は、ここにガス採掘のための櫓を建設中でした。

確かに中国の櫓は日中領海線の中国側にありますが、極めて日本に接近しています。

肝心のガス田は、日中境界線に跨って細長く伸びている、と言われています。中国からガスを吸い上げれば、日本側に存在するガス資源は必然的に中国に吸い上げられる仕組みになっています。

三年前の事件の時、日本の外務省は中国に工事中止を申し入れ、政府間協議を求めるべきでした。それをここまで怠ってきた我が国の外務省には本当に腹が立ちます。

中国にしたら、「何を今さら」というところでしょう。経済が急成長の中国は、石油確保に懸命です。なりふり構わず、世界中の可能なところはどこであろうと、相手が誰であろうと、かき集める事のできる石油を、全てかき集めている最中です。

「理屈よりも物が先」との心境になっているのが中国政府です。日本の言い分に、どれだけ冷静に耳を傾けるでしょうか、難しい交渉になるでしょう。

米中原潜の激しい陣取り合戦

この海域は、もう一つ、米中両国と日本にとって、重大な意味を持っています。それは、米中両国原子力潜水艦の通り道であり、核戦争をにらんだ陣取り合戦の場となっている、という厳しい現実です。

米国の対中核戦略は、原子力潜水艦を、南北に伸びている日本海溝に深く沈め、そこから中国に向けて弾道弾を発射する、というものです。中国は太平洋の海域で、出来るだけ米大陸に接近し、米国の首都がある東海岸まで狙う、という戦略です。

つまり、東シナ海という海域が、両国の核戦略にとって極めて重要な意味を持っている、ということです。

こうして日本の南に広がる広大な海は、「平和な海」とは名ばかりの、米中両国の核戦争をにらんだ、「陣取り合戦」の場となっているのが現実です。

したがって、米中両国の原子力潜水艦は、この海域の海水温度・潮流の変化、海底の地形などを常時観測している必要があり、これらの艦艇は、日本の周辺海域を頻繁に航行しています。日本政府はこれを黙認すべきではありません。

沖縄は、「米国が中国に向けた槍」です。嘉手納基地には常時、中国の最高機密の軍事情報、特に人工衛星発射に使われる大陸間弾道弾打ち上げに関する情報の収集を専門にしている偵察機が常時、待機しています。

いざ、「打ち上げ近し」、となると、米国本土から、弾道弾打ち上げ情報収集専門の偵察機が、飛来してくるほどです。宇宙船打ち上げに失敗した米国は、中国に宇宙開発で凌駕されているので、中国の宇宙開発情報の収集に躍起です。

こうして、日本は米軍の対中国戦略に深く組み込まれています。日中友好もいいですが、情緒的なレベルで終わらせず、軍事面での現実を直視すべきでしょう。

日本はこんな現実を踏まえて、「東シナ海非核地帯構想」の実現に向けて動き出すべきです。そして、この海域から米中両国の原潜を締め出すべきです。

そんな思い切ったことをしなければ、日本は中国を説得できません。(W)

編集部よりコメント

今回の記事について、編集部は違和感を持ちましたので、見解を添えます。前半部=「東シナ海の天然ガス採掘問題」のなかでWさんは、「日本の国益を擁護せよ」とのスタンスで外務省を批判し、「強気の外交」を求めています。その根拠は、「資源」の奪い合いです。こうした論理が、かつての戦争の根拠となり口実とされました。左翼は、こうした「国益」の論理や民族主義に反対し、国際連帯を対置して、「革命的祖国敗北主義」を掲げたからこそ、二〇世紀における新しい時代と社会システムを切り開くことができたのだと信じています。高まる中国の大国主義的外交姿勢には腹が立つし、批判も持っていますが、「日本の国益」からの批判には同調できません。

Wさんには、こうした見解は伝えましたが、平行線となりましたので、Wさんの了解の下「編集部の見解」を掲載します。

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