[社会] 「外国人犯罪増加」の流言を追う1/「外国人犯罪増加」は数のトリック
はじめに
今年の3月中旬、大手新聞社の見出しには次のような見出しが並んだ。
「今年上半期(1〜6月)に全国で逮捕・書類送検された来日外国人は、1万543人で、3年連続で過去最多を記録」(朝日新聞より)
果たして、本当に「外国人犯罪」は増加しているのか?(編集部T)
「外国人犯罪増加」は数のトリック
来日外国人犯罪の「総検挙数」は、〇二年=三万四七四六件から、〇三年=四万〇六一五件と、五八六九件増(前年比一七%増)となっている。
また、これらの数字は統計が取られ始めてから過去最多を記録し、この時も「検挙数は初の四万件越え、検挙人数は初の二万件越え」としてセンセーショナルに扱われた。
しかし、これらの増加した数字のうち実に九三%が、東京都やその周辺である関東管区一〇県の増加によるものであり、警察庁の言う「全国化」の動きは特に見られない。確かに四国等では、犯罪の検挙率が数倍になっているが、これは数のトリックである。
日本人を含めた全体の構成比を見ると、来日外国人の犯罪件数は、全体の二・三%しかなく、九三年の二・四%よりも減少しているのである。つまり、全体の統計から見れば、外国人犯罪は「減少している」のだ。
また、これらの「検挙数増加」の背景は、単に「警視庁と神奈川県警が、外国人の取り調べを強化しただけだ」とも言われている。
その証拠に、関東における検挙数は一六六三件増なのに対し、検挙された人数は二〇二人しか増えていない。つまりこれは、「余罪の追及」が執拗なまでに厳しくなったためだと言える。
日本人であればそこまで執拗に行われない余罪追及によって、「検挙数」を大幅に増やし、「外国人犯罪が増加した」と訴える。しかし、実際に検挙されている外国人はそれほど増加していない。全体の構成比は、先程も示している通り、一〇年前よりも減少しているのだ。
現に、関東で「刑法」に触れた外国人の内訳を見ると、「凶悪犯」は一三件増、「粗暴犯」は一八件増、「知能犯」は五〇件増と、はっきり言って「微増」と言わざるを得ない。
それに比べ、「その他の刑法犯」(大半が放置自転車の無断使用等)が六九〇件増となっており、本来ならばこちらがクローズアップされるべきであるが、微増としか言えない「凶悪犯等の増加」ばかりが白書で強調されている。