[社会] 沖縄レポ/市民参加による米軍基地の環境問題解決をめざして
はじめに
「基地に占領された」と形容される沖縄。米軍はこの沖縄の基地から、かつてのベトナムや、現在のイラクに出撃していった。ベトナムでは枯葉剤で森林を破壊し、イラクでは劣化ウラン弾の使用で環境汚染・白血病で亡くなっていく子どもたちが出ている。
米軍が引き起こした戦争は、人や環境にいまも大きな爪跡を残している。ではその米軍が居座る沖縄の地では、もう一つの基地問題として沖縄の自然環境にどんな影響を与えているのか。「沖縄環境ネットワーク」事務局の酒井哲哉さんにその現状や取り組みについて話を聞いた(編集部 小比類巻)
知らされていない米軍基地による汚染
沖縄の環境問題でよく知られているのは「赤土流出」だろう。雨が降ると、表土が流されて海に流れ込み、サンゴを死滅させ、サンゴ礁の生態系をがらっと変えてしまう。
「赤土流失には、二つの原因があります。@土地改良事業や農地開発事業によるもの、A米軍が、山地に戦車が通る道を造ったり、実弾演習を行うことによるものです。@の原因が大半を占めるのですが、これは「沖縄振興策」として行われた公共事業です。沖縄の自然環境を無視した開発は、赤土汚染によって農漁業・観光へも大きな影響を及ぼしています」(沖縄環境ネットワーク・酒井さん)
見逃してはならないのは、基地の島・沖縄ならではといえる「基地による環境汚染」である。
米軍基地被害が原因なのは、騒音、墜落・落下事故、交通事故など、枚挙にいとまがないが、環境汚染の現状はどうなっているのだろうか。
「たとえば、かつて米軍によるPCB汚染(囲み記事参照)が明らかになりましたが、今でもその問題は解決したわけではありません。たとえば、恩納村に米軍のPCB貯蔵庫があったのですが、これも処理されていないのです。
問題が深刻なのは、米軍が情報をなかなか開示しないこともあって、沖縄の人々に汚染が知らされていないことです」(酒井さん)