[社会] アパレル大手W社が団体交渉拒否
はじめに
アパレル大手メーカーW社の団体交渉拒否事件の命令が、9月17日に大阪府地方労働委員会で公布された。昨年8月に申し立て争っていた事例で、企業内組合と個人加盟組合の二重加入組合員の団体交渉権をめぐるものである。企業内の少数組合、社外組合の地域合同労組や個人加盟ユニオンを否定する企業・資本の論理と、その不当労働行為(資本、経営者が労働組合や労働者の組合活動に対してしてはいけない行為)を確認させる争いでした。
転勤命令撤回の代わりに降格・賃下げの仕打ち
株式会社W社は、アパレルメーカーで、ラグビーでも有名である。昨年の五月、Kさんは「妻が体調不良のため東京主体の業務は困難」と上司に相談した。その結果、転勤は回避されたが、仕事をはずされ、人事部預かりとなり、「ミッショングレード」(職位)が二つもダウンする業務にさせられた。将来の不安や不利益に備えてKさん、Oさんは管理職ユニオンに以前から加盟していた。会社に対しては非公然組合員であった。
グレードダウン、年収ダウンとなる扱いをきっかけに、管理職ユニオンの組合員として公然化し、グレードを戻しグレードに見合う職場配置を要求内容とする待遇改善を議題として、団体交渉を求めたことから争いが始まる。
Kさんの闘いを支援するため、Oさんも公然化した。彼は、組合活動を嫌悪・敵視した会社の東京転勤攻撃を受け、地労委で別件の不当労働行為事件として争っている。
「二重交渉の恐れがあり団交拒否」は正当か!?
まず会社の対応を紹介する。 『K組合員は、社内組合(約一七〇〇名))管理職ユニオンの二つの労働組合に二重加盟しているが、社内組合はK氏の待遇問題について交渉権を放棄していない。K組合員の待遇問題については、社内組合と協議しており、管理職ユニオンと交渉することは二重交渉にあたる。また、K組合員の待遇問題について、仮に管理職ユニオンと交渉して合意に達しても、人事給与制度上のルールを変更することになるのであれば、多数派労働組合である社内組合とも交渉しなければならず、結局、本件団交に応じることは二重交渉のおそれがあり、団交拒否は正当である』と会社は主張している。
実態は、社内組合と会社はKさんの要求の協議など行わずに、管理職ユニオン対策を共同で行っていたのである。