更新日:2004/10/10(日)
[社会] 西成区・今宮中前野宿テント強制撤去処分取り消し取り消し裁判、原告敗訴/大阪高裁、国連社会権規約に背き、強制撤去を正当化
野宿テントは基本的生存権だ
去る九月一四日、大阪高裁にて「行政代執行処分取り消し控訴事件」の判決があった。これは、九八年、大阪市西成区の今宮中学校前の歩道で野宿していた人たちのテントを大阪市が「行政代執行」によって強制撤去したことに対し、「居住権の侵害だ」と損害賠償を求めた訴訟の控訴審である。
「大阪市が行政代執行という強硬手段を取りにくくなったのは、この裁判があったから」と、支援者のIさんは話す。
この控訴審での原告側の画期的な主張は、「社会権」である。これは「生存権的基本権」とも呼ばれるもので、国家の積極的関与によって、自由権が形骸化するのを防ぎ、社会的・経済的弱者の生存の維持をはかるものだ。
現代においては、国連の「社会権規約」(七六年発効。日本も批准)で国際的に承認されている。その精神は《その国だけの法律とその運用だけに任せておいたら、人権は守られない》というものであり、各国の人権規定を補強し、発展させる性格のものであるといえる。
どんな不測の事態で人権が一時的にせよ侵されることがあったとしても、残されるべき権利(行政側にとっては義務)がある(最小限中核的権利/義務)。今回の場合では、十分な話し合いもないままに野宿テントを強制撤去した、という「居住権」の侵害として大阪市を告発しているわけだ。
ワシらも立ち退かなアカンのやろか
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