[コラム] この人たちとなら一緒にやっていける
──稲荷明古
都教育委員会包囲デモ、防災訓練反対デモ、同時多発テロ3周年デモで出会った人々
いよいよ最後の夏季長期休暇! 付き合いが長かった「夏休み」も今年でお別れです。卒論をやらねばと思いつつも、山形大と東京大の廃寮闘争ドキュメンタリー「泥ウソとテント村」の上映会をしたりしているうちに、山形に遊びに行く流れとなりました。
奇しくも、彼らの住んでいる土地が卒論の調査地に最適だったという妙な縁で、この夏は京都―山形間=九三〇キロを二往復することに。今回は、東京の日々で感じたことを書かせていただきます。
今回の旅の目的は、山形と岩手で行う卒論調査(環境社会学専攻。卒論は、食をテーマに、醤油や味噌という伝統発酵食品から見た環境/社会問題に迫ります!)。私はその前後を東京で過ごすことにしました。山形大学の泥ウソ国賠原告団(注@)は、上映会行脚の旅をしながら支援を呼びかけておりまして、東京への行き道は、八月末に京都にやって来た彼らの車に便乗させてもらうことになりました。台風を突っ切って東京に着いたのは二九日のお昼。その夜は、国立での「泥テン」上映会と交流会。三〇日は、都教育委員会(都庁)包囲デモと交流会。三一日は、昼までは国会傍聴に(経済産業省の関電証人喚問)、夜は山谷に泊まり、翌日の防災訓練反対デモに。
さらに、東北から戻って来て九月一一日、「同時多発テロ」三周年デモ。何かデモばっかり?!で、なかなかヘビーな感じの日程でありました。
連日いろんな人に出会う中で、〈情報〉が〈実感〉となっていきました。自衛隊官舎にビラをまいて逮捕された立川テント村の高田幸美さんと会った時は、「この人が逮捕される要素なんて本っ当に一つもない。それくらい誰にでも分かるだろうに」と、しみじみ思いました。
デモの醍醐味
三〇日の都教委包囲デモ後の集会にしても、「こんなに処分された先生たちがいるのか」(『三〇〇人の教員処分』というフレーズに耳慣れしてた…)と教育委員会の愚行に滑稽さを感じつつ、空恐ろしくなりました。それにしても(反戦ラクガキ事件のK君にしても山大寮生の不当逮捕にしてもそうなんですが)、何でこんな気持ちのいい人たちがこんな酷い目に合わなきゃならんのかと思うと腸が煮え繰り返ります。とりあえず、都庁の石原に「お前の思う通りになんかならないぜ!」と宣戦布告(デモの醍醐味その一)。何せ彼がいくら脅したって、命をかけて反対する先生たちがこんなにもいるのです。そういう「諦めの悪い」人たちと出会うと、自分が元気になるのが分かります(デモの醍醐味その二)。
都庁包囲デモ後の集会では、全国からのアピールに混じって泥ウソ原告が大学告発の不当逮捕のことを話しました。すると、会場から「酷いな!」「許せないね」などの声が湧き上がり、大きなどよめきになったのです。私は、嬉しくて涙が出そうになりました。それぞれのチカラが繋がっていく、その瞬間を目にしたように感じたのです。味方がいるって嬉しくて心強いものですもの。
一人ひとりの意志を捻じ伏せようとする不当な権力が横行しているこの世の中。畑違いと思っている運動でも、交流すれば共感できる部分や同じ構造を見出すことができるのです。星の数ほど問題がある一方で、原因が集約される中で、支え合うことが自然の流れ、つまり必然になりつつあるのかもしれません。
「当たり前」を主張することで非国民として罰せられる時代ですが、「あーあ、逃げられそうにもないねぇ」と苦笑いしたりしながらも、付き合っていきたいと思います。「この人たちがいたら、こんな状況でも自分も何とか最後までやっていけそうかなぁ」という仲間とまた一人出会うために、これからも声を挙げていこう!と思った旅でした。
出会った人、みーんなに有りがとうを言える人生にしていきたいもんです。さてさて、頑張っていきましょか!(九月二二日)