更新日:2004/09/31(金)
[コラム] 脱暴力を呼びかける18/カメラを武器に大衆を味方にしたマイケル・ムーア監督の非暴力直接行動
相手を「挑発」するマイケル・ムーア監督
映画「華氏九一一」を見た。前作「ボウリング・フォー・コロンバイン」を見た時のカルチャーショックが、私をマイケル・ムーア監督のファンにさせていた。
ブッシュ一族がどんな人たちであるのか、ビンラディン一族とどんな関係にあるのか、石油利権とはどんなものなのか、アメリカがどんな風に世界を支配しているのか、この映画を見るとハッキリしてくる。
特にブッシュ支持で、息子がイラクに行った母親へのインタビューはすごい。息子の死とともに彼女が変わっていく過程をきっちりと追っかけている。
結局、「誰が兵士になっているのか」「誰が甘い汁を吸っているのか」を、映画はどんどん明らかにしてくれる。
私個人としては「ムーアさん、えらい今回は真面目だな」という感想を持った。「ボウリング・フォー・コロンバイン」では、全米ライフル協会会長のチャールストン・ヘストンに執拗に突撃インタビューをくり返している。「銃の規制になぜ反対なのですか?」「少年たちの銃の乱射をどう思いますか?」と。最後はチャールストン・ヘストンが怒って、インタビューを拒否するシーンまで続く。
著書『アホでマヌケなアメリカ白人』の中では、マイケル・ムーア自身が、ニューヨークのタクシー運転手になって、客が白人だと乗車拒否する行為を繰り返す。「黒人が味わってきた人種差別のくやしさを白人に追体験してもらう」というわけだが、私は見ていてハラハラした。いつチャールストン・ヘストンが怒り出して銃を抜くのではないか、怒った白人客がタクシーを蹴飛ばすのでは?と。
「あなたと考えは違う。だけど私を否定しないで」
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