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更新日:2004/09/31(金)

[社会] 「送還してしまえば終わり」とばかりに続く暴行・鎮静剤投与

訴訟回避のための強制送還

「日本からパキスタンに強制送還される際、入管の職員に薬を飲めと言われて、それを飲んだら意識がなくなった」

今年の六月、茨城県牛久にある「東日本入国管理センター」から強制送還されたパキスタン人・Aさんの話だ。彼は軽犯罪を犯し、ビザ剥奪により〇三年四月に収容された。収容直後から、帰国同意書へのサインを強要され、拒否したら職員の暴行にあったともいう。

入管職員による暴行は繰り返して行われ、その結果、彼は頸椎から左腕にかけての痺れと痛みを訴えるようになり、支援者の要請によってMRI検査を受けたところ、ヘルニアのような症状が出ていたという。港町診療所の医師は、「あれは外部から無理な力を加えられた証拠だ」と話す。

Aさんは、今年六月一〇日に仮放免申請が不認可になり、翌一一日に送還された。アムネスティ日本支部なども支援に関わっていたが、Adsさんは暴行の件を国賠訴訟などで争おうと準備中であり、支援に関わっていたアムネスティ日本のスタッフなどは「訴訟妨害だ」と、憤りを隠さない。

意識を失わせて強制送還

「訴訟妨害のための強制送還」だけでも許されるべき事ではないが、今年の八月に行われた追跡調査により、入管が彼を送還する際に「おとなしくさせるために薬の服用を強要した」ことがわかった。 「医師でない入管職員が、被収容者に薬を投与する」という行為は、医師法・第一七条―「医師でなければ、医業をなしてはならない」―に抵触するが、たとえ医師のサインの元に薬が出ていたとしても、〈無診察投薬〉として医師法に抵触する。強いて言えば、「必要のない投薬」もまた、医師法は禁じている。「送還する際に意識を失わせるための投薬」などという「恣意的な投薬」が許されるはずもない。

東日本入国管理センターから送還された他のパキスタン人からも同様の証言が得られた。「入管の中で薬など飲んでいなかったのに、飛行機に乗る直前に三錠の薬を飲むように言われた。何も考えずその薬を飲んだが、次に意識が戻ったのは、パキスタンに着いた時だった。気付いた時は恐ろしかった」というのだ。

各地で調査が行われ始めた。今までに送還された者と連絡の取れる支援者は、すぐに「薬を飲まされたかどうか」の調査を始めたが、結果はまだ見えていない。とはいえ、これらの問題は入管を刑事告発するのに十分な犯罪行為であり、入管側の対応が求められる。

今回は、「暴行を受けたのを告発しようとしたら送還された」という非常識な送還のために追跡調査が行われ、たまたまこの事実が明るみに出た。

しかし、「外国人は送還してしまえば終わり」という現実の中で、入管職員が薬を飲ませたり、毛布に簀巻きにして外国人を送り返したり、ということが公然と行われている。外国に帰ってしまった人から、こういった事実はなかなか私達に伝わらない。日本の惨状を知らないのは、むしろ日本人の方なのではないだろうか。(T)

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